潜水艦7号

時間と空間の概念を超えて
有名なドレイク方程式によると、この銀河系の中に我々が意思疎通が可能な知的生命体が存在する数は『10』と推定されるそうです。 しかしながら、我々人類はいまだにその痕跡を発見するに至っていません。更に最近の研究では、全宇宙において我々が「孤独だ」という確率は最大で80%を超えるとも。両極端ですね。 では、その正解はどうすれば得られるのか。それはもう『行く』しかありません。そう、『遥か遠く』へ。 例えそれが片道キップになろうとも、命の保証がなかろうと。そこへ行って確かめる他ないのです。 その星に向かう旅人たちは孤独なのでしょうか?誰にも心配される心配の無い人達なのでしょうか? いえ、そんな事はないでしょう。本編の主人公のように、愛する者たちと断腸の思いで別れを告げることになるでしょう。 『遠く』。それは、距離だけではなく『到達に時間が掛かる』という事も意味しています。……本来ならば。 しかし本作において作者は、この『時間』と『距離』の持つ絶対とも言える枠をその卓越した物理学の知識で覆してみせるのです。 それは、SF作品でありがちな『単に専門用語を出しただけ』といった安易なものではありません。現実の方程式に基づいて厳密な計算を行った結果なのです。まさしく他の追随を許さない、作者みぐ様の真骨頂とも言えるでしょう。 SFはサイエンスとフィクションのバランスが難しいものです。 しかし本作では、物理学者顔負けのサイエンスと、人が人を思いやる心の強さを全面に出すフィクションが見事に融合し、『遠くへ』というテーマに対して、その距離の概念を技術と心で超えてみせたた素晴らしい作品になっています。 是非とも、ご堪能頂ければ嬉しく思います。
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潜水艦7号さんへ またもや素晴らしいレビューを頂きまして、もう嬉しくて三回も読み直してしまいました。 こんな作品をしっかり読み込んで頂いて、作者の想いを踏まえたレビューを時間を掛けて書いて頂き、感謝の言葉もありません。 また受賞は難しいと思いますが、このレビューを貰っただけで、書き上げた苦労は全て報われました。 本当にありがとうございます。 感謝を込めて! みぐ@明日帰国します!
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