なぎの みや

聖夜を飾る小さな主役たち
はじめてこちらでレビューを書かせて頂きます。 恐らく、誰もが経験した事あると思います。 クリスマスにちょっと奮発して買った生クリームたっぷりのホールケーキ。どんなに気を付けて丁寧に運んでも、何故だか表面のクリームが撥ねていたり、ケーキの上のサンタや雪だるまが転がってしまっている現象。多くの人々が首を傾げてしまうこの謎のが、もしかしたらこの物語で解明されているのかもしれません。 物語は、誰もが心ときめかせるイブの宵闇時。二人の可愛い男の子が、そろそろ日も暮れるというのに子供達だけで街中を歩いています。彼らが向かう先は―― 男の子というのは時に無茶や冒険をしてしまうもので、きっとこの子達もそれが今日だったのでしょう。仕事の帰りが遅くなる母の帰りを待つ事なく、二人だけでクリスマスケーキを受け取りに出かけたそうですね。ただ、本人達は意気揚々とミッションを遂行しているようですが、知らず知らずのうちに沢山の大人達から心配されてるみたいですよ? そんなこんなで男の子達が受け取った、お店で作る一番大きなサイズのホールケーキ。どうやらこの日を待ちわびていたのは、男の子達だけではなかったようです。耳を澄ますと、綺麗に組み立てられたケーキの箱の中から、はしゃいだ声や少しすました声が聴こえたりしてきます。 なるほど、ケーキの箱の中ではそんな事がいつも起こっていたのですね。パーティーを心待ちにする『彼ら』は、やがて訪れる最高の瞬間の為に人知れず、その小さな体を精一杯駆使してケーキを守っていたのです。これは本当に驚かされました。だから端っこが欠けていたり、フィルムの外側にクリームがついてる事もあったのですね。 一生懸命ケーキを運ぼうと頑張る小さな兄弟達。 一生懸命ケーキを守ろうと尽力する小さな命達。 姿や使命は違っても、目指す所は同じです。読書中は何度も彼らに心の中でエールを送ってしまいました。途中でちょっと失敗しちゃうけど、神様はちゃーんと救いの使者を遣わせるのです。最後は二人で仲良く、ね? 二人の小さな配達員さんは、その夜きっと最高に美味しいケーキを味わえたでしょう。自分達だけで買って、自分達だけで運んだケーキなんだから、美味しくて当たり前です。『彼ら』もきっと喜んでいるはずですよ。 最後を締めくくるにふさわしいクリスマス作品、ありがとうございました( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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