直田 麻矢子

優しい世界観……
感想が大変遅くなり申し訳ございません。 この作品を拝読したとき、もう一つのサーカスを題材とした『髪飾り』にはない、もの悲しさを感じました。安岡章太郎さんの『サアカスの馬』がよぎりました。『サアカスの馬』は、まあいいやどうだって、が口癖の少年が、痛々しく見える馬を自堕落な自分の姿と重ねて、サーカス団の人間から怒られているのだろうと思っていたけれども、実際は馬はサーカス団の花形だったという、端折った内容で申し訳ございませんが……。 思い違いというものは往々にしてあって、冒頭と最後での町の人たちに描かれていて、そういった心的変化・推移がとてもお上手で、優しい世界観ですね。ウーに対するプジョールの思いの変化も素敵でした。 サーカス団の人間模様もさらりと描かれていますが、とても緻密で、大人たちの過度ではない優しさ、距離感というのも、自らのいきさつとウーを重ねたのか、ウーの生い立ちを知っているからなのか、立ち入らないところが、同じ舞台に立つものとしての敬意の表れのように感じました。 そのなかで、プジョール。つい悪戯心でウーを…。けれど誰も咎めない。それも優しさで、ウーの純真で前向きな姿を尊重しているから。また、舞台であれば、興行・結果がすべてというのを皆、骨身に沁みているので、日常なのでしょうね。それが皆の強さであり、優しさでもあって。 プジョールの優しさに胸を打たれ、ルネも。個人的に、ルネがマルセル・マルソーに思えました。 素敵な作品をありがとうございます。また読みにうかがいます(^^)/
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そう!マルセル・マルソー! 白い哀しい顔の道化師、フェリーニのサーカスのイメージです。 障害をテーマに扱うのは、勇気が必要です。私が悲しく感じるのは、「耳が聞こえない人のためのコンサート」みたいな偽善的なものです。聞こえないことを忘れている時だってあるのに、わざわざみじめな気持ちにさせる、残酷な行為です。 ウーはパントマイマーですから、音のない世界でも一流になれるはずです。そのことを、サーカスの仲間たちは、みんなわかってくれている。だからウーは傷つかないのかもしれません。 もし私が盲目になったら、迷わず音楽を続けます。もし、聾になったら、小説を書いて、絵を描いて過ごすでしょう。 できない
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ありがとうございます。なるほど、その意図を読み取れず、まだまだ不勉強でした。友人にそういった方がいらっしゃるのがわたしの日常なので、無意識のうちに世界に浸ったからかもしれません。 得手不得手というものは、誰にでもありますね。本当に。普通がいったいどういうことなのか、その点を考えると、個人的に人の数だけ普通があるということになるのかなと、未熟者ながらに思います。 文字だけの世界というのは、一見すると誤解を生じやすいですが、世界にある不平等を埋められる場所でもあるように感じます。でも、まだまだ修行が足りませんので、これもまた独りよがりというものでしょう。 まだまだ全然。わたしも一歩進んで五歩
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