紅屋楓

文章そのものが作品の色を醸し出しています。
 読了いたしました。  イラストのすばらしさは言わずもがな。  物語のすべての場面に映像で見えてくるかのようでした。独自の文体や表現があるのとは違い、文章そのものから雰囲気が伝わってきます。  黒い森にアレックスやクリスティーナら登場人物の息遣いを感じ、物語が目の前で進んでいくような感覚になりました。  一人称視点というのも彼らが近くに感じられてとてもよかったです。  徐々に近づいていく主役二人の距離にドキドキする反面不安のほうが大きく感じておりました。おそらくそれは人間と人狼という種族の違いとアレックス自身の意識からだと思います。序盤から「どうか幸せな結末を迎えてほしい」と願っておりました。  途中、「本当にどうなってしまうんだろう?」と恐れにも似た思いを抱えながら読み進めていました。章が切り替わるごとに挟まれているモノローグは詩のように美しくて、どこか物悲しいばかりで……初々しい二人の様子を見守っているだけに不安と、ときめきの狭間で揺らいでおりました。しっかりとキャラクターが立った登場人物たちが魅力的です。芯のある女性陣、素敵ですね。  個人的にはアレックスの父親が一番ミステリアスだったように思います。ケーニヒに幼い息子を託した彼にもまたドラマがあるように思い、その物語を知りたいなぁ・・・と。  黒い森の動物たちそれぞれの縄張り、統治者、反逆etc.自然界の秩序や厳しさと人間との確執も描かれていて幻想的(ファンタジー)であり、その中にもしっかりと現実味がありました。  最後、再会というよりは出会い直したように感じられました。新たな始まりを予感させる幕引きは嬉しいばかりでなく、切なさが募ります。  綺麗な物語でした。  ありがとうございました。
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紅屋 楓さん この度は、丁寧なレビューをありがとうございました。 捻りのある文章は書けませんが、雰囲気が伝わると言っていただけてホッといたしました。 赤ずきんである以上順当に行けば最後狼は死ななければならず、幸せな時間の間にも不穏な匂いが常に絶えないように意識していましたが、加減が…。重すぎる?暗すぎる?難しいな…と感じています。 アレックスの父親に関しまして、実は一番悩んだところでした。 密かに両親のロマンス設定があり、外伝として書ける余地を残しておきたくて本編にちらっと匂わせたわけなのですが、本編の大筋には必ずしも必要ではなく…。もう素直に『数年前まで一緒に暮らしていて、森のお役目
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外伝!! 楽しみにしておりますo(^o^)o
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