蜜原みな子

静かな、だけど血の通った世界
 派手な出来事が起こり続ける、そういう鬼面人を驚かす作品ではないのですが、日常に起こる出来事、感情……喜びや不安、楽しみやちょっとした辛さ……が丹念に描かれています。    しかし、その淡々とした感覚は、かなりの筆力をお持ちの作者によって、自分のことのようについ感情移入をしてしまいます。  創作の世界では、「俺が俺が」あるいは「私が私が」と、前面にとにかく自己をぐんぐん押し出すという傾向がありますが、これは作者様の資質なのでしょう、そういうのとは正反対の静かな、血の通った登場人物が織りなす小説です。
4件

この投稿に対するコメントはありません