【コメント】「嘘」の根底にあるもの

そんなの、ひとりで抱えんなよ

「嘘」の根底にあるもの

優しい物語。それに尽きる。青春であり恋愛ではあるのだけど、無理のない自然な優しさで充ちる、切なストーリー。実は結末にちょっと泣きましたw 彼は中学時代の彼女に恩を感じていて、いつか感謝したいと思っていた。彼女には複雑で悲しい背景があって、中学の面影無く寂しげな高校生活を送っている。ある意味「おせっかい」ともとられかねない程に彼女の心を開こうとする主人公の様は彼の心根の優しさで、彼女が告白した真相もまた優しさの裏返しである「嘘」がそこにあって。タイトルにもなっている親友のひと言が皆を救っていて、彼女の弟や主人公の母親しかり周囲のそういう自然な感じの優しさに、誰もが救われているのだな、と、作品を通じて思いました。「嘘」は独善的で悪意に満ち溢れる時に生まれる事が多いですが、この作品の「嘘」には、根底に自分や周囲を守る優しさがありました。ひとりで抱えずにそれを分け合えた証として、幸福に満ち満ちたラストシーンがあったことが、本当によかった。素敵な小説です。

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