蜜原みな子

夏に、真夏に、こんな地獄の季節に、シトロンのように響く物語。
 それまで恋愛ものにこだわりと技術があった作者さんが、現代ファンタジーの世界へ。でも「きゅん」度は安定の血中「きゅん」濃度です。あっという間に書き飛ばす、ということはなく、とても丁寧に描写されていきます。  そういえばわたしも真夏に大阪へ旅行したのがあるのでわかるのですが、どの路線に乗ったらいいかキョドっていると絶対教えてくれるオッサンが現れる、そんな感じ。  で、ネタバレありになってしまいますが、慶君をロストしてしまうかと心配だったのですが、大丈夫、無事に怜君となって戻ってきます。  でもですよ、──この作品自体は完結してしまった。  『君といた夏』そのものはロストなのです。もちろんこれはあまりの長編きゅんきゅん現代ファンタジーの完璧な完結を喜ぶロストです。  ぜひ、読んでロスト感に浸ってください。
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