小池 海

忘れることのできない、夏の物語
あらすじや、幽霊くんの初登場シーンからは全く想像できなかった、とても大きな物語でした。 100ページぐらいからは、涙なしには読めないです。 主人公である結夏・レイともに表面の性格は読者にとってとっつきやすく、一方、それぞれの隠した・隠された思いや悩みも丁寧に作り込まれていて、ページを進めるたびに「つかずはなれず」の2人への感情移入が高まってきます。 それもあって、終わりの見える100ページぐらいからは涙なしには読めないです。(2回目 また、テンポのよい文体に、後半になるにつれて行動や感情を巧く表す描写・表現が多くなってきて、出くわすたびに、わわわ…って唸らされました。 「指に嵌めることはできんけどずっと一緒やで」から伝わる感情がすごすぎてもう……。 物語の構成も、レイの課題だけではなく結夏の課題も設定して絡ませることで、「ただ手伝ってあげた」物語にとどまらない、結夏(=読者の目線)自身の成長・解決を感じることのできる物語となっています。 加えて、物語論的な「日常への帰還」という意味では、ラストは「君といた夏」が過ぎ去った日常を描くだけできれいに締まったと思います。でも著者が描いたのは、単に切なさだけで終わらない未来を感じさせるラストシーンで、結夏のためというよりもうこれは読者へのご褒美であって、なぜスターは連打できず1回に1つしか送れないのかという気持ちにさせられました。 夏が過ぎ秋が訪れつつある今日この頃ですが、連載を追ってきた一読者としては、2人とともに歩んできた夏のロスト感が大きいです。 連載終了後にも最初から最後まで読みましたが、一気に読むと感情移入の度合いが強くて、終わりの見える100ページぐらいからは涙なしには読めないです。(3回目 来年の夏にも読み返したいと思う作品、ありがとうございました。
2件

この投稿に対するコメントはありません