山咲 さくら

たった一文の深みが増していく物語
二年前に彼女が直面した事実を元に海に抱いたやるせなさ。それと対比してガラスやレモネードという言葉を用いて表現されるのは海の綺麗さと儚さにも似ています。"海"がもたらす二面性が見事に組みこまれた展開でした。また、自然の摂理は人がどうこうできるものではない。だからこそ、冒頭1P目の言葉に彼女の思いの全てが探すべき対象として集約されているのです。 ではなぜその文に惹かれたのか。それは物語中盤にでてくる、とある人物が彼女の深層を導きその答えを諭してくれます。 物書きとしての葛藤も描かれたこの物語には力強さが感じとれました。物書きならば一度は直面する苦しさは海の荒波にも似ています。けれど、書き続けていけば乗り越えていける。彼女が囚われていたものから解放されたときに、あの一文の意味がまた深みを増して、あぁこれすきだな。と、おもいました。 素敵な作品でした。ありがとうございました。
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山咲 さくら様 このたびはレビューいただき、ありがとうございます。 衝動的に書いた作品だったので、さくら様のご精読のおかげで私も新たな気づきを得ることができました。 なんの変哲もない一文を、物語の中でどう際立たせるか……そこに注力したお話でしたが、おそらく作家さまならだれしも、たどったことのある道だと思います。書き手の方に深く共感いただけるのであれば、それに勝る慶びはありません。 ありがとうございました。
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