水谷遥

エスが好きなんです
 お姉様!  百合!  ザ・キングオブ・少女小説! (私の中では)  今作、タイトル通り「大正ロマン」による「美」の追求です。文体が今までとは全く異なっているのですが、煌びやかな西洋的な美しさではなく、慎ましく清らで純潔風情漂う中での「美」を表現されていて、毎度毎度、新たな挑戦に向かっておられる姿に感服します。  文体が変わっているとはいえ、作家性の軸は全くブレません。  美の様々な側面を描こうとも、それは「美」であります。後、シーンカットの文量調整の感覚であったり、引きを使うポイントに個性化されたパターンがありますので、紅屋さんが書いていると一目で分かります。ブレない要因の一つでしょう。  書きたいものが定まっていて、その旗手を作者が務めている状況が、読者にとってどれほど安心できるのかを良く理解できます。  特筆ポイント。  他の世界観では書けない、日本のお嬢様達、純潔世界ならではの美しい心の揺れ。  謎よりも構成よりも、この作品の一番の魅力はここにあったと思います。  ここを見落とさない為の指標に、あえて構成の表示をされていたのかと推察しております。  どんな作品もそうですが、結局は「人」であり、これを書いてナンボです。一番面白いのもそこですし、「ならでは!」が書けた瞬間は作家冥利につきますし、そこの「ドヤ顔」を想像しながら読むのも読者側の面白味の一つです(性格悪くでスイマセン)  次のお母様編も期待しています。

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