小池 海

タイトルからは想像していなかったテーマ
ミステリーとして犯人を追うという構成をとってはいるけれど、著者が書きたかったところは、「言葉」そのものについてではないだろうか。 感じたことが2つあって、 1つ目に、言葉は、刃ともなるし、薬にもなる。使い方一つでプラスにもマイナスにもなるということ。 2つ目に、私達は常に、建前と本音、表と裏を使い分けて生きていて、容易に掛け違いが起きやすいということ。 花染くんという、常に一直線のバディの存在があって笑いながら楽しめる物語だけど、根底に流れている、人間の性質がむき出しになる瞬間がところどころ頭を覗かしてきて、その度に怖さを感じたし、哀しみが襲ってきた。 矢島は見た目で判断され続けるし。 深田は贖罪とその苦しみをSNSでしか吐き出せない。 和彦は娘に勘違いされ続け、 瞬一は声なき声に殺された。 主人公梨夏自体、大切な想いを隠したまま、結局瞬一に伝えられなかった。 特に、序盤に起きる親友であるはずの真奈美・知佳の態度の反転が、本当に怖い。 仲良くしてたけど、実はこう思ってました、くらいならまだいい。 花染の登場で三人は邂逅するけれど、許す許さないではなく、私なら今後一緒にいることが耐えられない。 何事もなかったようにもとの鞘に戻ることができる梨夏が、現代の若者の人付き合いを反映しているのだとしたら、現在というのは(良い・悪いという意味ではなく)人間関係は軽く表面でつきあうのが最適解なんだろう。 ラストにかけて、掛け違えていたボタンが戻り、真実が明らかとなり、花染との再開で前向きな未来を感じることができたのが、ほんとによかった。 少し暗めの感想になってしまい恐縮ですが、すらすらと読めつつも読み応えのある作品、ありがとうございました。
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小池さん、 最高の感想をいただき本当にありがとうございます!!! 作品の隅々まで読んでくださり、 作者の意向や、時代背景のことも触れていただいて、感服いたしました。 こんなにも深く丁寧なレビューをしていただいて、嬉しい限りです😢 各登場人物のことへも的確なお言葉をいただいて、キャラ作りに奮闘していた時が報われた思いになりました。 小池さん、本当にありがとうございます🌸🌸🌸 震えるほどに嬉しいです。
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また、福川さんの新しい作品をお待ちしてます~。(個人的にはLemonのやつですがいまだにツボってます🤣) 今後もよろしくお願います~。

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