つるよしの

青春の「爽やかさ」と、人間本来の「美しさ」について
個人的に、物語の舞台が身近な場所であったこともあり まずはそこに引きつけられるように読みました。 ですが途中から、それ以上の味わいをストーリーから感じるようになりました。 美術部を舞台に、主人公の成長と、 彼女を巡る人間関係と恋愛模様を「爽やか」に描いた物語。 ……といってしまうと非常にありがちな紹介になってしまうのですが、 この物語で感じた「爽やか」とは だれもが、特別に不幸では無く、また、特別に幸せでは無いけれど ただ日常をあるがままの力で生きる姿勢の「美しさ」、 と言い換えられるかもしれません。 駆け引きなく愚直に人を愛し、 その喜びや哀しみに素直に浸れるのは青春の特権といえるのですが その美しさが何よりも輝いてみえるのがこの作品の魅力です。 ですが、その「美しさ」を青春特有のものと決めつけず どの年齢になっても人間本来のものとして 暮らしのなかにおいて大切にして生きていきたい。 そう思わせてくれる読後感が味わえたのが、 私にとってのこの作品を読んだ最大の収穫です。 ありがとうございました。
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