ヒロアキ

コスモスを読み終えて
 とてもリリカルな物語でした。プロローグで語られた、ある思いを別の気持ちに置き換えて、それが何を紡ぐのか?  私は常に思っていること、感じていることがあるのですが、ファンタジーと詩はとても相性が良いということです。この作品に触れて、もう一度それを再認識しました。  物語中にはもちろん詩は出てきませんが、このお話はまるで一遍の詩なのではなかろうか?という読後感があります。  詩という言葉の世界は、ある思いを遠いどこかへ届けたい、そんな印象が強いのですが、これって、とてもファンタジーの根底と同じ音叉を持っていると思うんです。異世界がどうとか神がどうとかは、乱暴ですが、言ってしまえば表層部分のペルソナでしかないんじゃないのか?  ファンタジーの細胞レベルにあるものって、詩と同じで「ある思いを遠いどこかへ届けたい」だと思うんです。  本作コスモスには強くそれを感じることができました。ラストで昇華されていく主人公秋桜ちゃんの、まだ少女の頃だったからこそ、強い悲しみと小さな罪悪感に囚われ、取捨選択を選べずに心の中に留めていた苦しみにも似た思い。それが、プロローグの思いの置き換えを桜花と守桜という精霊との触れ合いによって、拾うでも捨てるでもなく、思いの丈を吐き出すことでようやく気持ちと向き合えた。  留まらない決意という桜花の言葉は、それゆえにとても象徴的で、物語のテーマに昇華させたなと思いました。それは桜花たち自身にも及ぶ言葉。  ああ、これってファンタジーだな~と、私も遠い遥かな思いを共有できました。  物語って連なるエピソードと登場人物と描写をいかにテーマという一つの形に変えていくのか?それができている作品こそが、充実した素晴らしいものだと思っています。昨今はキャラ主義という一辺倒で胸焼けしてしまいますが(笑)、「空の歌」共々、ぶれないファンタジー作品でした。  とても心温まる作品でした。ありがとうございました! 追記 幻獣は一体なんだったんでしょうか?(笑)相変わらず深読みし過ぎてしまいました(;´∀`)  
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ヒロアキさん こちらも読んでくださって、ありがとうございました! その上こんな嬉しい感想までっ…! 幸せ過ぎて、書いて良かった、投稿して良かった、と改めて噛みしめております…! 私事を少しだけ。ソラウタが公募に惨敗した頃、私は18歳だったのですが父が癌で余命宣告され、私の大学費用の捻出が懸念され、一時大学に行かない選択肢も過ぎりました。そんな中、末っ子の私だけ大学に行けないのはダメだと半ば親の意地で大学進学を押してもらいました。晴れて大学に進学するも、その夏父は他界。19歳の時でした。 今思えば親を失った喪失感を咀嚼しきれず、こじらせていたのだと思います。そんな中で、私がするべきは勉強とそ
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 実体験から綴られた作品だったんですね!どおりで端々で、詩のようなものが感じられた訳です。どこという部分はもちろん指摘できないのですが、字面とか文体に滲み出ているのでしょうね、きっと。  こういうのが書けるのは羨ましいです(^-^)といっても、辛い体験には代わりないのですが。  幻獣は納得しました(笑)  でも、確かにそうですよね。色々なものに、結局私たちは助けられているんですよね。 それでは、次作をのんびりとお待ちしてます(^-^)/
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