Nia.

月への愛は嘘で綴る
 美月。思わず息を呑みました。もしかしたら、お父さまから授かったその名前は、月が綺麗ですね、に続く愛の贈り物なのではないか、と。  年を重ねていくごとに、夢が歪み、壊れていく。誰しも経験したことがあると思います。そんな中でも、お父さんから送られてくる手紙にだけは無邪気さを残して待ち焦がれることができた。けれど運命は残酷で。徐々に明かされていく事実には胸がつかえました。絡み合った糸が解け、優しい嘘で隠されていた真実に出会った時、温かい涙が頬を伝って。二十年越しの家族の絆は目を見張るほど美しくて仕方がありませんでした。  読了後の今、しっとりとした透明なベールが身を包んでくれている。そんな柔らかい心地と共に、美しく輝く月明かりに切に願います。美月のこれからが煌めきで満ち溢れていますように。  真っすぐな想いが籠められた手紙は、時に誰かの支えになって、時に誰かの夢になる。今日は、大切なあの人に手紙をしたためようと思います。  素敵な作品をありがとうございました。

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