えふえふ

真摯に向きあうことの難しさ、そして、尊さ
ショッキングな書き出しからスタートして、そこからは一気読みでした。 望まない妊娠をした主人公の心情の動きや周囲の反応、そして主人公が受ける施術などすべてにおいてリアリティがあり、中学生が妊娠するということの真実と否応なしに対峙させられます。 悠斗のキャラクターも、母のキャラクターもすばらしい。 悠斗は妊娠を機に彼女を捨てた酷い奴、とも見ることもできますが、彼を等身大の男子中学生でありそれ以上でもそれ以下でもないものと見ることもできます。そもそも中学3年生という年齢は精神的にまだ未成熟。目の前の現実と真摯に向き合うだけの度量を兼ね備えている底の深い人間の方がむしろ少ないのかも知れません。そしてそのことをしっかりと指摘し、娘に教えているのが母の存在でした。  母は娘に対して突き放すこともなく、責め立てることもなく、自らの体験に基づいて娘と向き合う選択をとります。今は苦しくても、失敗の経験を学びの経験に変え、幸せを掴み取るであろうラストシーンに向けて、しっかりと後押しをしていました。娘が本当に苦しんでいるときにまるっとその姿を抱きしめ、受け入れられるその姿は本当に魅力的でした。 重い話題を真摯に扱いつつも救いのあるラストに持っていき、ラストには優しい気持ちが残る素敵な作品でした。 これは男女問わず、10代に幅広く読んでもらいたい。
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えふえふさん、すてきなレビューをありがとうございます。痛々しい描写もあり、男性に受け入れてもらえるかという不安があったのですが、「傑作!」とのコメントもとても嬉しかったです。中学生男子で彼女の妊娠に向き合える子は実際にはまずいないだろうと思い書いたのですが、等身大と評価してくださりホッとしました。 10代に広く読んでもらえたらいいなと願っています。
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