橘 実来

最後まで読んで確かめて欲しい
作品世界に入りこむと、苦しいくらい胸が痛くなってしまう。どこか冷静でいられなくなる。 『恋じゃない』は読んでいると切なくて痛くて。でもやっぱりココロに強く響いてくる。心を揺さぶるお話なのです。 あらすじにも紹介されているように、このストーリーは主人公理子と、悠貴のダブル不倫を軸に展開します。 刺激的な内容を、どこかクールさを漂わせる文体が淡々と、けれど濃密なふたりの関係をくっきりと描きだしていきます。 この悠貴、かなりヒドイ男です。でもそれも魅力と表裏一体。女の子を惹き付ける悪い魅力をもったオトコ。 悠貴と出会った頃、理子は愛猫の死、働かない夫など、気の滅入るような状況の真っ只中。それらを振り切るように悠貴と逢瀬を重ねていくのです。 いきつけのラブホ、そこのバスルームにあるレインボージェットバスがとても象徴的。夢の世界みたいにキラキラ輝いて、ふたりをてらしていたレインボージェットバス。それが、味も素っ気もないワンルームのバスルームで時間を過ごすようになってくるあたりから、現実がふたりの間に忍び込んでくるのです。 理子は、悠貴に違和感やイラつきを感じながらも、彼だけに責任をなすりつけたりしない。 ダブル不倫であるという状況を冷静にみていて、自分にも非があること、二人の関係に未来がほとんどないこともちゃんとわかっている。 そうして何度も呟くのです『こんなの恋じゃない』と。 でもその『恋じゃない』という理子の呟きは、自分に言い聞かせているように聞こえてならないのです。 理性ではわかっていても、これが本物の恋では無いか。そう彼女の感情が抗っている。それが行間から伝わってくる。 クライマックスに差し掛かって、悠貴のゲスっぷりがヒートアップし、衝撃的なラストを迎えることになります。 理子の、理性と感情の谷間で、激しくゆれ動く気持ち。差し伸べられる手。あっと驚くラスト。 せつなくて苦しくて、もどかしくてやるせなくて、でも愛おしい。そんな彼女に共振するように、どんどん読み進めてしまうはず。 ふたりの恋は、やっぱり恋じゃなかったのか。 最後のページまでめくって、ぜひそれを確かめてほしいと思います。
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レビューありがとう(≧▽≦*) 作品のクオリティがレビューに追いついてないけど、ありがたくちょうだいいたします笑 ちと淡々と書きすぎたかな、と思っていたから、せつなさや苦しさが伝わっていてほっとしました。 ところで、本当に描きたかったことを書けていなくて、なんだか不完全燃焼だという話はしたっけ。でもね、いつか書き直したいな、と思う反面、今の私にはもう『理子』を書けないんじゃないかと感じて、とても迷ってます。この意味、美空ならなんとなくわかってくれるかなー。 ま、とりあえず今は書く時間ないんだけどな。 とにもかくにも、勿体ないお化けが出そうな本当に素敵レビューをありがとうございました♡ ミ
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かなたん♡ ちょっとだけレス。今はもう理子が書けない……。うん、なんとなくわかるかも。遠くの嵐を離れた場所からみつめるようなイメージかな…… ミラーボール、ひみつとかいって最後に出すしー笑 ₍₍ (̨̡ ‾᷄⌂‾᷅)̧̢ ₎₎
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