碧桜 詞帆@🔰

多くの出会いがロージーに宿命の産声をささやく第二部
 主人公がまだ知らぬ悲しい結末を第一部で読み終えて、読者としては悲愴感を抱いたままめくる第二部となりました。けれど物語はまだ山場から下ってはおらず、ずっとずっと山場を走り続けているかのような緊張感と疾走感を抱いていました。  人間の醜さと弱さが如実に表れていた一章では、ギリアムやルーベルト、アリュースラの大事な人たちの強い優しさや愛情を知っていればこそ、広い世界で出会う人たちはそういう人たちばかりではないことを頭で理解してはいても、やはり胸が締め付けられました。ギリアムもルーベルトも二度と会えないことを読者としては知っているので、それも苦しかった…。広い世界に独り放り投げられる孤独感も覚えました。そんな心境で読んだ「欲望こそがあるがままの自分、本当の自己の確立」という言葉は、刺さりました。それが全てはないと信じたい一方で、紛れもなく真理だとも思ったんです。でも、マーベラスを見ていて、誰もが欲という活力で己を奮い立たせて、自分のために生きることもあるけれど、他人のために生きることもできるーーそれはギリアムやルーベルトにも通じる真理だったことに気付かされました。その後はずっと、どうか生き延びて。世界が貴女を否定しようとも、命を賭けて貴女を守ってくれた人たちの思いをどうか忘れないで。と願いながら見守っていました。それに気付かせてくれたマーベラスの存在は、私の中で特に大きかったです。  そして名称が変わった時は鳥肌が立ちました。ロージーの物語は大きな悲しみと共に、けれど温かな思い出を抱いて終わるのですね…!  ヒュミルとは異なる存在のアルファヌが登場した二章は、グリーバに乗って飛翔してから読者としての視線も俯瞰的なものになった感じがしました。人間中心の思考から一度ぐっと引き離されて、人間ってなんだろう、私たちは何か人間以前に生き物として大事なことを忘れてはいないか。そんな遠い思いを抱きました。「神の如きアルファヌといえども、人の仲間であることに変わりはなかった」という一文に、ヒュミルの中でも相容れない人はいるけれど種族を超えて手を取り合う未来はゼロではないかもしれないという、温かい気持ちにもなりました。
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 アリュースラを忌み子と罵るアルファヌたち。その中でイリューウェンとナリューシャは千年の子と言いました。私たち読者にも宿命の産声がはっきりと聞こえ始めたところで、ロッシュを巻き込んでの死闘。ギリアムとの約束を果たすため、レイブンのところにアリュースラを連れて行くためとはいえ、肩はやられるは足はやられるは(笑)。軽口叩く程度じゃ割に合わないのに、かっこ良かった!そして強かった…!(ロッシュ信者になりつつあります(笑))「あの娘は、俺の恩人の娘! 断じて忌み子などではない!」はじーんと泣きそうになりました。彼は出会った時からこれまで一度もアリューをそういう目で見たことはないけれど、アリューを通して
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 二度目の感想までもありがとうございます(ノД`)・゜・。しかも、こんなにも内容の濃い感想で、かなり物語の深いところにまで反応頂けて、言葉が見つかりませんでした。  第一章炎の女王は、碧桜さんの感想通りに人の弱さや醜さ、浅ましさを前面にだしました。そして、家族という箱庭から放り出されたロージーが独り見る、初めての外の世界です。それを演じさせたのがサイラスであり、特にフランベルージュという強欲女でした。私の力量不足故に、実は最も不満な部分がここなんです。フランベルージュに担ってもらった浅ましさを満足いくレベルまでどうにも表現しきれず、今の自分ではこれが限界!となって、現状の形になってます。しか
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