純風満帆

魅力的な人物と生き物たち
P117まで読んでの感想です。 文章の秀逸さは他で十分書かれていますので、書かれていないことを書きます。 第一話の前半で主人公・揺恵はわがままに感じますが(P15もうちょっと嬉しそうにして欲しいものだけど・P22夏生の体調を知りつつも案内を頼もうかと思う・P23親しくなったら、魔術の手伝いから単純な力仕事まで)読み進めるにつれて他人を思うように変わっていく過程が良いです。 わがままに感じる描写も、それは母親を失い、知らない土地で一人暮らしていく寂しさからくるものだと、同じく母親を失った恵里沙を呼び寄せたことから読み取れます。 第二話は、第一話が「静」だとしたら、こちらは「動」。主人公涼子の快活な性格、分かりやすい事件解決もののストーリーと、読者の楽しめる要素が揃っています。ランディとのやり取りもほほえましくて良いです。 P85のセリフ「うちが少し損をしてでも働けば、うちが好きな人や場所を守れる~」という考えのもとに動く涼子にブレがなく、あっと言う間に読み進められ、心地よい読後感が残ります。 魔術に関しては詳しくないので言及は避けますが、横浜には詳しいので、いくつか感じたことを書いておきます。 揺恵の家に選んだのが、周囲に自然があり、のどかな上郷町であるところにセンスの良さを感じます。 P55で良い描写がされていますが、冒頭で「ランドマークタワー、見えないじゃん」というセリフがあり、読者の中にはランドマークタワーがどういう建物か知らない人もいますので、なぜ見るのを楽しみにしていたのか書いてあげると親切です。 P57ベイスターズファンのことが書かれている描写、とても良い文なのですが、近くにスタジアムがあることも書かれてある方がいいと思います。 P85愛之助が夢の中で食べたものに、横浜で喫食率の高いシュウマイを登場させたのは良いと思いました。 他にも実在の場所や建物がいくつか出てきて、それが第二話で驚くほど臨場感にあふれて描かれているため、第一話の描写が物足りなく感じてしまうのが残念です。 第三話、エピソードタイトルが興味を引きます。序盤を読んだ時点では式見家の話だろうかと想像しますが、第二話が鮮やかでしたので、後半それがどう絡んでくるのかが楽しみです。
1件・2件
丁寧な感想を寄せていただきありがとうございます。 この作品は元々魔術師より書物守に寄った視点で書いていましたが、それがうまく進まなかったので魔術師たちの視点も追加したものです。 揺恵は魔術師としての実績がなく、技術的にも精神的にも未熟なところを多く抱えるというキャラクターでした。今にして思うと、成長の足掛かりを得るために第一話を費やしたように思います。舜吾や美緒といった未成年たちも同様です。 それに対して、涼子や小夜は魔術師としての実績があり、人間としても経験を重ねた大人です。自身の考え方も確立されており、揺恵や舜吾、美緒にはまだ備わっていない要素です。その差が話の安定性や描写の余裕につ
1件1件
丁寧な返信をありがとうございます。 第一話と第二話の差についての説明、非常に納得しました。ありがとうございます。 横浜は観光場所も歴史も自然もあり、興味の尽きない町だと思います。上郷町の動物注意の標識は知りませんでしたが、港南区のリスは見ました。あの辺りに出没するのは台湾リスという外来種だそうです。 人物や使い魔の名前に由来があったのですね。オペラ「白狐」の「こるは」は思い浮かびましたが、後はお手上げです。 第三話は時間のある時にゆっくりと読ませていただきます。 こちらへの感想、どうぞよろしくお願いします。

/1ページ

1件