ヒロアキ

人の死に、もし幸せという言葉が当てはまるなら
 読後の直接的な感情は、この感想のタイトル通りでした。幸せという言葉では余りにも地上的なので(もちろん、リシュティーノは人間だけれど)いまいち収まりが悪いんですが、しかし、最後の独白は他に言葉が見つからりませんでした。  最初の登場からずっと彼女は浮世離れした精霊のように描写されており、これは並の筆力ではこうも維持できないな~と、大変勉強にもなった一遍でした。ともなりさんの感想と被るんですが、これはちと、特典ではもったいない出来です。しかし、これを特典として読者サービスでここまで書き上げたのですから、読者としては嬉しいの一言です!  リシュティーノは精霊に育てられ、そして精霊から人の世への賜わりものという存在であるため、ずっとある意味では人との人らしい触れ合いが無かったのでしょう。そして、星を読むことで未来を知る力とセルシアという崇められる存在は、嫌でも人にとって畏敬の存在でしかなかった。彼女には最初から人らしくは生きていけない定めでしかなかった。  一方のシェダルは幼き頃から天真爛漫で、憧憬を生きる原動力そのものにして生きているという、そういう意味では世俗の常識という概念に無縁な存在。リシュティーノに存在がうるさい(笑)という高評価でした(そうなのか?)。  二人が惹かれるのは引力のように、あるいは磁気のようにまるで必然で、なにも星読みからシェダルという存在に何かを見出しただけではないのだろうと、私個人は思いました。シェダルという良くも悪くも真っ直ぐな(直角とか散々いじりましたが笑)人柄であるからこそ(それこそずけずけと)、リシュティーノもまた心の奥に眠らせていた「人という心」に熱い血潮が呼び起こされたのでしょう。  シェダルは最初から彼女を好いていたようですが、それはリシュティーノも恐らくは同じだったのかもしれない。シェダルは神秘的でオルゴンのように人から掛け離れた存在に魅せられ、リシュティーノは恐れ知らずの少年に魅せられた。  だから、ラストのリシュティーノの最後は涙を禁じえないけれど、二人の思い合う心は主従として誓いになり、そして、未来への僅かな可能性に思いをを這わせた。  セルシアという作品の地下水として流れている思いは時を超え、時代を築き、そして命は続く。きっとこんなメッセージであろうことを、この作品がすでに予知してくれたような気もします。
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特典に感想! ありがとうございます! しかもスゴい熱量で反応を戴き、この特典を頑張って仕上げてよかったなぁと、しみじみと噛み締めております。 たくさんのペコメ、笑ってしまうものも多く、私の方こそ楽しませて戴きました。読者様に感謝する企画で、作者大喜びってどうなんだと思いつつ、本編に戴くのとはまた違う感慨を味わっております。 そして「地下水」の表現にずきゅんとやられました。何このカッコいいまとめかた! と。 うちに出て来るキャラとしては濃い目の二人、決して短くはない話にお付き合い戴き、また世界観を汲んで戴き、深謝申し上げます! 本当にありがとうございました! 本編も最終回まであと十日ほど
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