怖いけれど、人間とは何だろうと考えさせられるホラーミステリー小説でした。
 冒頭は不気味な生物が跋扈する話かと思いました。しかし、読み進めていくうちに、その正体がますます分からなくなって、それがかえって、恐怖とスリルとドキドキ感を煽ります。  東と彼の妹のエピソードは、目が熱くなりました。その思いが茅につたわるとき・・・私はその描写力に圧倒されました。  凄い。  まるで金縛りにあったように、私はその文章に釘付けになりました。  茅はバケモノになってしまったのですね。最後は東と一緒になれて良かったとは思いますが、これははたして幸福といえるのかどうか・・・とは、言っても二人がいつまでも穏やかで優しさに満ちた世界にいることを、祈るばかりです。  切なくて、悲しくて、怖くて、不気味で、そして美しい小説でした。  感動をありがとうございました。
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