両端に立つ。だから見える事がある。
 はじまりは19歳の女子大生がとあるアルバイトから得た大人達との関係性と、憧れにも似た恋心のままならなさを描いた切なくて微甘の恋愛小説なのですが‥‥  この物語の真の読みどころは、後半の「憧れられた大人側」の視点で描かれたストーリーにあると思いました。 前半の未成熟なヒロインの心中の右往左往、距離感をはかりかねている葛藤には、特に女性の読者には共感や感情移入をもって読まれるお話であるのに対し、  後半の大人の男性パートでは複雑な「大人の事情」や心優しい男性の性格(特性)に、切なく心打たれるドラマが描かれています。これがもう、本当にぐっとくる。  この小説では、この主人公二人を見る視点として関係性の真ん中に立たず「俯瞰的」に見るような事もしないで、とにかく各々の両端から主観的に感情的に相手を見通していて、全てを知る読者は祈りにも似た気持ちで二人を見守るように読み進める事になります。だからこそ、分かること、見えるものがあるのだ、と。  切なさの中で次第に経過する時間を読者も共有し、おとずれるラストシーンには安堵のような安心をもって静かに読み終える事になります。ほっとするような、素敵な気持ちです。  とても幸せな読書時間でした。  普段ほとんど短編しか読まない私ですが、この小説を読んでよかったと、心から思います。  ありがとうございました。  スター特典で描かれるお話も、興味本位のような気持ちで覗き見れるのは、結末の幸せを知る特権のように思い、二度三度とおいしい気持ちをいただきました。  全力でおすすめしたい小説。
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床田とこさん😁こんにちは。 お読みいただき本当にありがとうございます📖 「ととこさんの小説はR18だから読めないのよね」というところから始まって、誕生日がきたら読むからね😃って話したことを、ついこの間のことのように思い出します。 いつか、とこさんにも読んでもらえるような短編を書きたいなぁと思っていたのですが、結局まだうまくまとめられておらず、こちらは67000字。文庫本半分くらいの量かもしれません。幸せな読書時間と言ってもらえてとても嬉しいです。 ひとつの出来事や物語は平面ではなく立体で、こっちから見ればこうだしあっちから見ればああ、って、多方面からお話を想像するのが好きなので、視点を変え
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