エブリスタ
さがす
本棚
通知
メニュー
コメント
奴隷と女と女たち
うましか
2021/12/22 10:03
何をもって「復活」とするか考えさせられる作品
個人的に現代離れした世界観において、濃厚な人間ドラマを繰り広げられるというのはつるさんの得意な書き方と思いますが、今回においてもそれを楽しませて頂きました。今回は戦争があって、そこで生き残った敵兵を復讐のために奴隷として迎え入れる。その理由も踏まえ、奴隷としての生活を進めるうちに驚愕の真実やストーリーの結末に行くという流れを楽しませて頂きました。 ●奪われた側の尊厳について ●結局のところ、怨恨だけで人は生きていく事ができるのか? この2つが軸になってくる話だと勝手に思い最後まで読んだ感想です。残酷な事実を突きつけながらも、実際に読んでみれば思わず共感できる部分もあれば、最初は復讐を考えていた村も、やがて外から人が来ることにより気持ちが緩和される、また外から来た人によって"復讐が全てではないのでは?"と突きつけられる状況にも「一方的にやられておいて、それを忘れる事はできるのか?」と疑問に思わせてくれたりと。考えらせられるシーンがある点についてはご自身も意識されたかと思いますが、その振れ幅があるからこその温かさあるドラマであり、最後まで血生臭く、ドロドロした復讐劇の中にも一筋の人間らしさを感じさせてくれる、改めて「人間が人間であるには?」という哲学的な疑問に対する、つるさんの考えが分かりました(正直なところ、作中の考えには共感している奉行です)。 書き方については、短編ながら話の構成がしっかりされており、主人公が捕まり奴隷となる⇒奴隷として働かされる⇒時が過ぎての生活⇒クライマックス(都合上ここは伏せておきます)と10ページという短さ(奉行作品の1話より短いです…)で、更に言えば1ページ1ページがエブリスタのページめくり機能を存分に活かした「展開が気になってページをめくらざるを得ない」という仕様になっていたのも評価すべき点かと思います。 素晴らしい作品を、ありがとうございました。
いいね
・
3件
コメント
・1件
つるよしの
2021/12/22 11:27
プリン奉行様、丁寧なご感想をありがとうございます……! いつものことながら、けっして明るくもなく、また、口当たりの良い物語ではないですが、それだけに真摯にお読み下さったこと、感謝に堪えません。 そして、色々と汲み取って頂けて嬉しい限りです。 今作はドラマチックなファンタジーではありますが、自分では突飛な話ではなく、けっこう、歴史では埋もれてはいるものの現実ではあるあるの話なんじゃないかな、と思って書いた作品です。 また、流れていく時間が形作る歴史というものと、その中を生きゆく個々人の生はどうリンクしていくのかというのが、最近のわたしの作品におけるテーマというか、掲示したい問題のひとつで
いいね
・
2件
コメント
前へ
/
1ページ
1件
次へ
うましか