至高の愛とは
至高の愛とは、赦すことである。そう書物の中で読んだ記憶があります。 人を赦すということは本当に難しい。愛する人を亡くした悲しみさえ、癒えるまでには5年も、10年もかかるのに、ましてその人を殺めた人間をどうして赦すことなどできようか。 しかし彼女たちはそれをやることに決めた、その一歩を踏み出した。その先も、何十年も、折に触れては思い出す痛みと憎しみに心を引き裂かれながらも、それでも新たな「人として」、生きていく道を選んだ。哀しい。そして、強い物語でした。 主人公マルクは、その生活を見ていると根っからの悪人には見えません。兵士でさえなければ、彼はきっと罪を犯すことはなかったのでしょう。人は立場によって生かされ、立場によって殺されることがある。 その罪は永遠に消えないけれど、命を贖うことなどできないけれど、憎しみを手放すためには心に多くの傷を負うけれど、それでも過去を受け止め、生きていこうと踏み出した彼と彼らを、私は応援したい。
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小花衣ゆりさま、このたびはお読みいただき、またお心のこもった丁寧なレビューありがとうございます。 ご指摘の通り、女たちが主人公マルクへの憎しみを放棄し「赦す」ことを心に決め、「人として」の道へ自分たちも戻って生きてゆこうと決意する迄の物語です。同時に、そこに至るまでの彼女たちの複雑極まる心模様や、憎しみの余り自らもマルクへの残酷な行いに手を染めてしまう過程にも、力を入れて綴ったつもりでおります。 彼女たちはマルクを赦すと「決め」ましたが、果たしてそれが実行されたかは、ものがたりのラストの描写に留め、あとは読んだ方の想像にお任せする形にしましたが、たぶん、マルクとヘレナ、そして女たちの関係は

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