山口そら

「糖花」、それだけでやられたと思った。
「糖花」その文字を見た時、私は暫く画面から目が離せませんでした。ゆうさんらしい言葉選びに、優しい色と甘い香りのする文字。それでいて、品がある。私が大好きなゆうさんの世界です。 読後、お二人の姿が温かくて涙が零れました。 菓子職人だった武明さんと、3月にコートをしまってしまう志穂さん。お二人がだんだんと生き生きされていく姿に感動しました。 武明さんの眉間に皺をよせた姿をみたい一心で、志穂さんは支えます。面白いと思いました。穏やかに笑っている方がいいのに、志穂さんはそうは思わない。眉間に皺をよせ頑固な彼こそが本来の彼の姿だと知っている。本来の彼でこれからも過ごして欲しいと願ったことこそが、奇跡を作り出しました。 この話の凄いところは、武明さんの職人手腕だけはなく、志穂さんの経営手腕を合わせて一つの物を作り出したことにあります。二人で協力して社会に糖花を送り出す。それがお金になって戻ってきて、それでまた糖花を作る。それぞれがそれぞれの分野をしっかりと請け負い、社会の一員として貢献している。それを実現させた縮図です。 愛をベースに二人三脚で、社会貢献をされているお二人に脱帽ですね(笑) 愛がなければ実現しなかった「糖花」、一度食べてみたいです! 近い未来、高齢の社会化は少子化と共にさらにヒートアップされます。仕事を失くし意気消沈される高齢者の方が飽和状態になるかもしれません。年を取ったからと家に閉じこもっていては勿体ない。このお二人のようにどんな形でも社会と繋がって余生を送れる、そんな未来を見せていただきました。 一人でも多くの人に読んで欲しい。 素敵な作品をありがとうございます。 感謝を込めて、aoisora。
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糖花は金平糖の別名、表紙に色を使う試みをしてみました。 自分にとっては文字も作品の一部なので、それを含めて見て下さって嬉しいです! どうしても心を閉ざしてしまいそうになる環境で乗り越える力と明るさを、人は持っていると思っています。 そしてそれを思い出や趣味で終わらせない逞しさやしたたかさも。 社会との繋がりは、未来を見据える時に必要なものだと思います。 作品の文字数の中では書き出せなかったことまでを汲んで下さって感謝しています。 直接震災や戦争を体験していない自分がそれを描くことに躊躇があったのですが、それでも書いておきたいものでした。 こちらこそ素敵なレビューをありがとうござい
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