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Moon away the Time
明島 御影
2022/6/10 2:03
美しい少年の美しい物語
冒頭から、クラシック映画を思わせる素敵な展開でした🥺✨✨ 金髪碧眼の美しい青年ジルベールと、彼に同行する、口は達者でもまだ幼い少女クラーレット。対照的な彼らの関係性に、明らかな説明はおろか、暗示されるシーンもなし。進むのは、朝起きて車に乗り込んだ、曰くありげな二人が紡ぐ、過去の映画も踏まえた軽妙なやりとりのみ。 ここだけで当方は、本作に魅了されました😍😍 本作を語るための自分の語彙力のなさにドン引きですが、本当に美しいんです。選ばれている言葉が、出てくる人物が、描かれる景色が。そしてこの先二人がどうなるのか、何が明かされるのかと続きが気になって、どんどん物語に引き込まれました。 あ、少し気になったことといえば、同一ページ内でも、段落によって時々登場人物(複数)の一人称になったり、三人称になったりと、視点が変わるので、今読んでいる視点が誰のものか、特に最初の方で混乱しやすかったことでしょうか。読み進めているうちに慣れましたし、この万華鏡的切り替えが、本作の映画的雰囲気を作っているようにも思いますので、作風だと解釈しております。 第二章は、ジルベールの過去のお話。女優でもある母譲りの美貌を持つ少年が、その美しさ故に事件に巻き込まれるところから始まります。子どもとはいえショウビズを生きるゆえか、どこか年齢よりずっと大人びた思考でその場を切り抜けるものの、やはり年相応の少年としての一面も覗かせるアンバランスさにハラハラしました。そして、その事件をきっかけに始まる、年上の娼婦ミラベラとの危うさと美しさの同居する恋物語が、思春期の少年の成長とともに描かれます。 ローティーンの無軌道さというか、向こう見ずさ、現実と理想とのギャップに対する悩み、一途さ。自分の日常こそ普通であり、そこを疑わないが故の残酷な一面も覗かせるあたりが、完成しきっていない若さを象徴しています。相手の一挙手一投足で、コロコロと気分や思い、表情が変わるところは本当に少年らしい。それなのに、ふとした仕草が、彼の美貌も相まって本当に大人っぽく表現されていて、読んでいてドキドキしっぱなしでした😍🤩😍🤩 (コメントに続きます)
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明島 御影
2022/6/10 2:10
そんな中で一点、ジルベールとミラベラの最初の艶事シーンでの「彼は自分を安く見積もりすぎたのだ」の解釈に、実はまだちょっと悩んでいます。 これはミラベラ視点なので、自分=ミラベラ本人とすると、ミラベラはホントはかなりの高級娼婦で、三万円じゃ足りないというように読めます。 でも、その前のシーンの雰囲気からすると、三万円でミラベラはジルベールの相手をするけれど、彼女からすれば「ジルベールの相手」はもっと価値のあるもの→「彼は自分(=ジルベール本人)を安く見積もりすぎた」という考え、とも取れます。 ただ、実際に支払ってるのはジルなので、この解釈では、ちょっとそこと整合しないような?その前の「これでジ
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明島 御影
2022/6/10 2:14
レビューっぽいことを書くならば、全体を通して、ジルベールの半生を彩る三人の女性=母、ミラベラ、クラーレットは、それぞれジルの「過去」、「現在」、「未来」を象徴しているなと感じました。「未来」に足を踏み出せば、「現在」はその時点で「過去」となる。本作では母親とのその後は書かれていませんが、物語の冒頭と最後の文章が、物語を円環に閉じているので、きっと再会する家族は過去と形を変えてもなお美しいまま、彼の前に現れるのではないか、と当方は思っています。 そして、過去のジルベールが打ちのめされたように、現代社会の法律のことを考えると、ジルベールとクラーレットの二人組は、これからも大変なことが予想されます
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