リクタシン

浅海さん。 はじめまして。 今回、都市伝説企画②ダークマター・ドームに参加しますリクタシンです。 早速ですが原稿と感想を送りますね。 原稿は全3ページで全て1000文字以下です。 まずは1ページ目 ↓ ——ねぇ知ってる?このお化け屋敷の都市伝説 ——あ、聞いたことあるかも。日本人形のやつだっけ    少し前に並んでいた女の子ニ人組の会話が聞こえてきた。 ——一番奥の部屋に並べられてる日本人形でさ、右から四番目の人形が赤い着物を着ていたら、それは生死の境に迷い込んだ証なんだって。 ——ちょ、なにそれ怖い    なんだか物々しい噂話が聞こえてきて、ショウマはこれから入ろうとしているお化け屋敷をもう一度見上げた。黒い半球体に白い幾何学模様の建物は近未来的で、お化け屋敷と言われてもちょっとピンとこないのだけど。 「ショウマさん。」  一緒に隣で並んでいたマドカがささやく。 「ん?なんだ。」 「もしかして怖いんですか?」 「なわけねーだろ。」  からかうような言い方は、七年前に出会った時と変わらない。その当時彼女はまだ小学六年生でショウマは十九歳だった。    彼女の方を盗み見ると、広げた遊園地のパンフレットを熱心に読み込んでいる。  ・・俺なんかに粉かけなくたって、他に男なんていくらでもいるだろうに。  ましてや東京大学の学生ならなおさら自分のような学のないパン職人とは不釣り合いな気がして、自分に向けられたマドカの好意を受け止めるべきか・・これで三回目のデートだと言うのにショウマの迷いは増すばかりだ。
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スミマセン。2ページ目が1000文字を超えていたので分割しますね💦 (小説エディタ画面だと960文字ぐらいとカウントされていたのですが) 2ページ目(その1) ↓  正直、舐めていた。  最近のお化け屋敷を。  おそらくはアルバイトなんだろうけど、血まみれの破れた衣装を着て、怨霊だかゾンビだかに扮したスタッフが暗闇の中で近づいてくる様は鬼気迫るものがある。 「やだ、本気で怖いんですけど。」  マドカがとっさに腕を掴んできたのは計算なのだろうか。ちょっとドキッとした。  そして問題の奥の部屋、日本人形が並べられている和室に着く。  都市伝説だとこの部屋の右から四番目に並べられ
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2ページ目(その2) ↓  ショウマの脳裏に、七年前のマドカの告白が甦る。   ✳︎ 『ショウマさん。私ね、九歳下の弟がいて・・名前はハルトって言うんだけど。』  あの日。  まだ小学生だったマドカがショウマに語った心の傷。 『私と、お父さんとお母さんの三人で決めた名前なんだけど。』  ずっと見て見ぬふりを決め込んでいた心の瘡蓋に目を向けるのは、痛みを伴うのだろう。彼女は瞳に涙を溜めていた。 『・・ハルト、生まれて三ヶ月で死んじゃった』  避けられなかった弟の死で彼女と彼女の両親は大きな傷を負い、家族の心はバラバラになった。  そして程な

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