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小池正浩
小池正浩
2023/2/19 15:31
ずいぶん長いことあたためているアイディアのいくつかに小学生の作文という形をとるものがあって、もちろんそれはただ作文形式にしたらテクスト的におもしろいだろうというだけの、奇をてらった短絡的な発想ではけっしてなくて、ちゃんと本格ミステリー/推理小説としてねらいや理由が確固としてあるわけなのですが、今回ひさしぶりに短期間で書きあげた単発ものの短篇も、とはいえ公式コンテスト参加作品なので急遽そのテーマにそって考えだした内容で、かつしかも個人的なコンセプトとしては叙述〝ロジック〟実験シリーズにもするため、作中作として小学校の卒業文集に掲載された作文が挿入されています。作中作、といっても今作は厳密には主軸のストーリー記述のあいだあいだや途中に挟みこんだりするカットバックとかではなく、冒頭に「初恋」という章題のプロローグ的な短いシーンをおいてから、あとは問題の作文そのものそれのみが最後までつづくといった感じなので、主題としても作中占める割合からしても完全にそちらがメインですけどね。 とはいっても今回の小説も、本格作品としてもメタフィクションとしても可能なかぎり、しっかり構築しておきました。四百字詰原稿用紙を再現していますし、小学生が書いたという通常の一人称よりもより主観的な感想や思考が多い文章になるので、媒体環境や文字設定によっては読みづらいとはおもうのですが、なるべく新感覚の読書体験になるよう工夫を凝らしています。中心的謎のほかにも、あえて文中では提示も説明もされない、読者によっては見すごしてしまうかもしれない、行間から読みとり文脈から読み解くいわばテクスト外に存在するだろう事件の背景や動機を、プラスもうひとつ同趣向のギミックも仕掛けていますから、そのへんも気づかれることを作者としては期待しつつ。 推敲も本日あらかた終了しましたが、いやあ、やっぱり8000文字以内という条件は、ロジカルに書くにはきびしい。かといって長篇となると、どうしてもスケジュール管理とモチベーション維持がむずかしくて毎度のことのように中断しがち。けっして中絶ではありません、一度もしてません、がしかし、それを疑われかねないくらい期間があくのはたしか。飽きっぽいおまえが悪いとつっこまれればそれもたしかに、といわざるをえない。まあ結局、四の五のいわず、つべこべのたまわず、ひたすら地道に書くのみよ、でしょう。
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