昭島瑛子

この作品の着想がすごいPart2(Part1は『君といた夏』)
ファンタジーやSFを読む楽しみの一つに「こんな設定を思いつくなんてすごい!」があると思っています。 『君といた夏』(https://estar.jp/novels/25671917)のレビューでも書きましたが、リコさんの現代ファンタジーはまず着想がすごいです。 喜怒哀楽の感情によって町の天候を左右してしまう能力を持った天音。天音がはしゃげば気温が上がり、泣けば雨が降ってしまう。 人は「安定した天候」を求めてしまうものです。だからこそ天音も素直な感情を出しにくくなってしまう。 もう、この設定がすごいです。 私は読了ペコメに「青春小説としても最高」と書きました。 この作品が恋愛を重視した小説なら、天音が三人のうちから誰を選ぶかというのが物語の結末になると思います。でも天音にとっては三人全員が大切な仲間です。 それは大蛇になった胡桃を助けるシーンにも現れています。 天音にとって胡桃は初めてできた同性の友達。そして宗丞にとっても二者択一では選べない大切な幼馴染です。 大切な人は一人だけじゃない。だからこそみんなを大切にしたい。 爽やかで心動かされる作品でした。
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