吾妻栄子

桜の下にいる人は現か、夢か。
たまたまサイトを開いた際にこちらのコンテストの結果発表の通知を目にしてそこから大賞の御作を拝読するに至りました。 おこがましいようですが、私も戦前の旧家を舞台にした作品を書いており、季節の花のモチーフ、使用人も含めた人間関係など似通った空気があるように感じました。 https://estar.jp/novels/25771418 ただ、拙作が少し時代が下って欧米的な都市文化の花開いた大正であるのに対して御作はまだ没落士族などが健在で社会全体が武家文化の名残を残す明治である点で大きく異なりますね。 いわゆる妾腹の子である男主人公が出自を知る頃にはもう達観していて驚きもしない、成長後は自分に冷淡な継母に人としての同情すら覚えるといった描写に物語として型にはまらないリアルさを覚えました。 ただ、展開としての意外性を狙ったにせよ、姉やの設定やストーリー全体に色々と詰め込み過ぎた印象を受けました(息子の妻にはせず、孫息子を産み落とした後にすぐに引き離した実母を期間限定の使用人として呼び寄せて育てさせるという祖父の行動も個人的にはかなり残酷な印象を受けました。当時の旧家の当主の価値観としては自然であるにせよ、一番家や体面を優先して目下の相手に不幸を強い続けたのは、継母よりもこの祖父ではないのかと感じました)。 書く上で便利なキャラクターであるにせよ、女中頭のお竹さん(男主人公にとっては祖母的な存在ですね)がやたらと出てきて男主人公に真相を伝える役目を負っているため、本来のヒロインである姉やや妻の糸子の影が薄くなっているようにも感じました。 色々書きましたが、最後まで興味深く拝読したことに変わりはありません。
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吾妻栄子様 レビューをいただきありがとうございます。 この小説は妄想コンに書いたもので、普段の創作とは違いまず提示されたテーマから、和風ファンタジーの大筋を考えました。そして、そこに家制度や姉やの設定などのエピソードを加えていきました。 姉やについては意外性を狙ったというより、地方の旧家で聞いた話が印象的で、それを姉やにアレンジしたものです。しかし、詰め込みすぎとのご指摘を見ると、最考の余地があったのかもしれません。 和風ファンタジーであり、誰が悪いという視点で書くつもりはありませんでしたが、「一番残酷なのは継母よりも祖父ではないか」というご指摘については、私自身も継母は可哀そうな人と思
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