とても素敵な話。
 素敵なお話をありがとうございました。窓という少し珍しい語り手による語りに、思わず引き込まれました。  最初のお話で、友理さんが細い指から大事な指輪が落ちないように手を握りしめていたというエピソードが好きです。娘のことも、夫のことも愛していたことがよくわかります。いろいろ考えたものの娘の名前は決まらなくて、結局自分の名前に一文字足したものにする。そんなことで自分の存在を残そうとする彼女の気持ちに心を打たれました。 二つ目のお話では、とある老人が主人公。優しい妻に看取られて幸せに天国に旅立つかと思いきや、おや、椅子は空っぽ。しかも窓に向かって話しかけていて……不思議に思ったところで、次のお話。元気だった女の子も、亡くなってしまいます。天国に行って本当のお父さんとお母さんに会いたいという彼女の願いが切ない、そう思ったところで明かされる衝撃の事実。 三人の関係性や天国に行った両親とは誰だったのか、という真相に目を見張りつつ、見事な叙述トリックと悲しくも温かい真相に胸がいっぱいになりました。 本作の魅力はいくつもありますが、大別すれば、最後に全てを繋げる構成の素晴らしさと、ただでさえ美しい各お話が全て結び付いたラストの(トリックに対してもそうですが、主に内容についての)感動に分けられると思います。 構成と内容、どちらも美しく、しかも主人公が「窓」である理由も最後に明かされ、内容が全部繋がり、そして浮かび上がった真実に対する感動と構成の素晴らしさ、両方において脱帽でございます。 こんなにいろいろな意味で感動した作品はあまりありません。しかし普段読まないようなヒューマンドラマであったにも関わらず、流れるような語り口にぐいぐいと引き込まれました、思わず最後まで一度に読み進めてしまいました。(読みやすい文章も、本作の魅力のひとつです) 大変長々とした長文を失礼いたしました。少しでも私の受けた感銘が伝わっていただければ幸いです。 これからも素晴らしい作品を書き続けていってくださることを願っております。 このたびは、素晴らしい作品をありがとうございました。
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