有澤いつき

 最後まで読ませて頂きました。話の構成について触れていきます。    全体的に「自由の国」を信じる少年と少女の世界……という感じでした。厳しい言葉で現実を突きつける大人の存在が大きく感じました。胸が痛くなるような心理描写は主人公の思いをよく反映していると思います。  惜しいのは、終始「自由の国」を信じる、相手も立場を変えないことです。はじめから終わりまで、簡単に言うと変化がない。物語である以上何らかの成長や変化が欲しいもので、現状では主人公も大人も互いの立場を貫くだけ、何も変わっていません。  また、「自由の国」を信じそこに居続ける最後のシーンは、私には現実からの逃避に感じました。自己満足のバッドエンド、という感想です。嫌なことから逃げたくて「自由の国」を求め、そこに閉じ籠るのではなく、きっかけが悲しいことからの逃避でも最後には前向きな理由で「自由の国」を求める、くらいの成長が欲しかったです。  「自由の国」の根拠を先生に尋ねられ、答えられなかった部分からの答えも必要かと。ただあると信じるのではなく、なぜ信じるのか。そこに信念や筋の通ったものがあれば「自由の国」とはどんなものか、輪郭がより読者にイメージしやすいものになるかと。    以上です。楽しませていただきました。
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はい。有澤さんのいう通り、バッドエンドで単なる逃避の物語です。 これは、狙ってやったことなのでわかってもらえて嬉しいです。 さて、何故、主人公が先生に自由の国の有無を聞かれて、なにも言えなかったのかというと、主人公の信じる理由は純な妄想から生まれたものでふわふわしていたからです。 だから、明確な理由を先生に伝えることは出来ません。 漠然と存在するような気はするけれど、実際はどうなのか、というようなものですから。 このことは、物語内でしっかりと説明、それか描写をするべきでした。反省します。 タメになるレビューをありがとうございました。 感謝します。

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