内田ユライ

理想の世界で、罪とならぬ罪に対峙するとき、どのような結末を迎えるのか
世の中に現れた、バグのような「罪とならない罪」。 本来、この世界では罪は厳重に処されるはずなのに、罪にすらならないという矛盾が生じる。 贖う機会を失う事実が、どのような展開を迎えるか。 大切な人を失う人々の感情、葛藤、激情が、冷静かつ精緻な描写で綴られます。 謎解きの推理物語となると、登場人物の仔細な感情を内部の思考にまで潜って描かれることは少ないように思います。なぜなら、過度に感情的な推理ものは読み解く側の読者の邪魔になりがちだからです。 とても快い、的確で理知的な語り口で進む展開が、終盤に綴られる慟哭の感情を際立たせ、読み手の心を揺さぶります。 クライマックスにて登場人物の行動力に驚愕し、慌てさせられました。対峙した者に発する、筋の通った主張が読者の胸に迫ります。 個人的には、主人公の家族の登場に心温まる思いでした。想像以上に、彼は若かったんだなぁ。あまりにしっかりした考えを持っているから、もうちょっと年高かと思い込んでました。家族同様に、早く良くなってねと思わず願う自分がおります。 次作もある……んですよね? とてもとても楽しみにしております。 よい作品を、本当にありがとうございました。
1件・6件
内田ユライさん お読みいただき、感想まで頂戴して喜びをかみしめております。 私は幸せ者だなと思います。 このシリーズは三作目になりましたが、プロの作家の方でさえ、シリーズの途中で離脱されて寂しい想いをなさることはあるかと思います。 そんな中、私は三作目まで全て読んでいただき、しかも都度感想を頂けるうえに、次作を楽しみにしていると仰っていただける。これほど作者冥利に尽きることはありません。 終盤で思わぬ行動に出た彼ですが、まだ若くまだ青いまま描いているつもりです。社会も周囲も成熟して、多くの人たちが矛盾に目を瞑る中で、彼だけはそうならずに矛盾に正面から立ち向かう人間として書き続けたいな、と。
1件5件
エブリスタで拝読しているなかでも、もっとも読み応えのある作品だと思い、日々強い感心をもって読み進めておりました。 なかなか人物像、内容、展開、全体の構成において心配りが感じられる作品はそう多くなく、また感情まで揺さぶられるものとなると限られるため、ものすごく楽しませていただきました。 「年高」という点では、語弊があったかもしれません。 若いとあったので、二十代半ばからやや後半くらいかな、と思っていたのですが、家族への対応で「あれ? 二十歳寄りの前半なのかしら?」と感じました。 勝手に脳内で作り上げたのが、クレバーで理性的に努める人物像だったので、過去の自分と比べると立派すぎてまぶしいなぁと
1件

/1ページ

1件