さら・むいみ

重厚にして、繊細。読み応えたっぷりの、傑作です。
Watergoodsさんの作品は、これまでも何作か読ませて頂いてましたが、本作は満を持して書かれたかのような、そんな強い思いが込められたような作品に感じられました。 恐らく多くの資料を読み込んで、それを自分のものとして「架空の世界」に置き換えて小説化するという難題に挑戦し、見事にストーリーを成立させている手腕に感服です。序盤は現実の社会にも存在する問題に対し、どう決着を付けるのかが気になっていたのですが(その決着の付け方が、現実の問題に対する作者の考えとも捉えられますので)、タイトルになっている「壊れた天秤」の言葉が作中に出てきた時は思わず唸らされました。これは私個人の好みでもあるのですが、国家的規模の問題を扱いながら、「個人の痛み」にフューチャーした締めくくりは秀逸だと思います。 ただ、これも本当に私個人の勝手な思いではあるのですが、ウィンディちゃんだけはどうか無事でいて欲しい・・・!という思いが叶わなかったのはちょっと悲しかったです。まあ、自分の作品で容赦なく登場人物を死に至らしめている私が言えることではないのですが(笑)。 ともあれ連載期間中は、次回は一体どうなってしまうかなど、本当に楽しませて頂きました。次の作品にも、大いに期待しています!(^^♪
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さらさん 素晴らしい感想をありがとうございます。何度も読み返しながら、喜びを噛み締めております。 おっしゃる通り、この作品は以前から書いてみたいテーマでした。特に今は防衛問題なども盛り上がっているので取り扱ってみました。 モデルにした地域と問題はお察しいただけているかもしれません。この問題に関連した資料を調べ、過去の出来事や経緯、力関係などをいくつかオマージュして今回のストーリーを組み立てました。メインは1970年にそこで起きた出来事です。 さらさんの好みに合っていたとは大変光栄です。今回の主人公レオンは体制と現地の狭間で揺れ動き、最終的に痛みに耐えきれず、他人を厳しく律する方法に傾倒し
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