とても素晴らしい話でした・・・・・・✨
 面白すぎて、一気読みしてしまいました!桃太郎の話が、こんなふうに脚色されて国の権力のすべてを握るなんて。最初はギャグも多くて笑いまくってましたが、最後はもう感動の嵐でした・・・・・・。  武力には武力を、攻撃には報復を。そういった考えは子孫に負の遺産しか残さず、誰も幸せにはならない。赦すことができなければ戦いは終わらないという、非常に強いメッセージのこもった、素敵な作品でした。桃井きびだんごが、建国の父と呼ばれた翌年に、政府や国家から敵対視されて幽閉されてしまうのが悲しい。でも、最後は山中くんに夢と革命の手段を託せてよかったです!ほんとに良かった(泣)  超人桃太郎の話を子どもたちに語って聞かせたのは実は自分だ、と桃井が告白したあとの、彼と山中くんの関係性の変化が好きです。双方とも脚色された桃太郎伝説の被害者でしかなかったはずが、桃井は瞬時にして加害者の片棒をかつぐどころかすべての元凶となり、山中は今の動乱の時代を救ってくれると信じていた救世主、一筋の光がそもそもの始まりだったと理解する。そしてそれを理解した山中くんの中には鬼が生まれ、武器を手にする。  このシーンが、直前に語られていた桃太郎の話の中にあった、加害者と被害者の逆転、そして敗北と敵への憎悪にかられた被害者が武器をとって報復に走り、やがて加害者になるというシーンを彷彿とさせました。いや彷彿どころか、しっかり桃太郎の話なぞってますよね⁉  話が面白い上にところどころに挟まれるネタも面白いです。桃太郎電鉄は笑ってしまいました。しかし、本作はほとんどが山中くんと桃井さんの会話であるというのに、非常に面白くわかりやすく、かつ読んでいて登場人物たちの気持ちに入り込める。その理由はやはり、作者様の非常に高い構成力がゆえかと思います。いや、絶対にそうです(確信)桃井の行脚から全国での桃太郎超人化、そして彼の話によって生まれた被害者たち。その裏にあった、桃井の本当の思惑、そして感情。一見複雑なこれらがうまく絡み合い、物語に深みを出していました。全部が繋がった途端、感動しました。  あと、最後の終わり方も好きです。昔々、あるところに!その言葉だけで、革命を起こす山中くんの決意と強い意志が現れてる。かっこいい、かつ未来への希望をもたせる感動的なラストでした。  長くなりましたが、素敵な作品をありがとうございました!

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