downdawn

逍花さんへ 読み終えました。レビューします。長文になります。 さてどこから評したものかなと、読みながら考えていたのですが、取り上げて話したいことがあまりにも多い上、私にはそれを評する能力が足りないと思っています。 ですので、筆者に最大の敬意を払い、心して書きたいと思います。 まず最初に、正直なところ本作は私の好みとするところの題材ではありませんでした。本来であれば敬遠しがちなジャンルであったと思っています。にも関わらず本作には読者を魅了する世界観がありました。情熱がありました。生き様がありました。それはまるで筆者が花子の生き写しであるかのように感じさせるほどの臨場感を演出し、952ページに渡る一つの舞台を演じ切ってくれたからに他なりません。情景の描写が――心理の描写が――と、このサイトにいるとそういったハウツーな感覚で作品を捉えがちになってしまうのですが、本作は言うまでもなくこの感覚を忘れさせてくれる完成度を誇っています。苦手だと思っていた感覚、自らの誤解が知らず知らずに解きほぐされ、今は花子一座と共に欧米を旅することができた余韻に浸っています。本当にすばらしい作品と出会えました。 そして、私が本作を通じて印象に残っていること、それは場面場面で生まれる空気の彩りと流れです。最初はほんの小さな黒い点であった団員達の謀反の兆候、それが静かに、ゆっくりと膨張しながら舞台裏まで忍び寄って来る空気感には戦慄しました。ハラキリは是か非か、そのはざまで揺れ動く赤い血液の流れが花子の悩みと共に脈動し、滞留となって最後は突き立てた刃のもとにあふれだすその一連には日本文化が世界に羽ばたく際のジレンマを覚えたように感じます。ロダンのアトリエ、石膏の乳白色と粘土の色が混ざり合う乾燥した空気感の中で、花子の生気に満ちた熱演が彩りを添えて花開く様は、長い時間をかけて練り上げた芸術の日の目を垣間見ました。以上のような彩り、時にはストレスをはらみながら大きく膨らみ、情熱を持って吹きだす筆者の花子に傾ける愛は、私ではまだまだ筆舌に尽くせません。 大作を純粋に楽しませて頂いたと同時に、自分にはこれほどの作品は書けないけれど、どこか近づいてみたい境地だと学ばせて頂くこともできました。 ここにおさまらない分はまた追って、お話させて頂く機会があればと思います。 長文、失礼いたしました(^^) melodyより
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melodyさん、素晴らしいレビューありがとうございます! 実在の人物をテーマにした歴史小説の面白さのひとつは、日常のスケールを超える世界に臨場感をもって浸れることだと思います。 それは、書き手にとっても同じことで、今回私は、自分が普通に接している人々や経験を超えた世界を描くことができたように思います。 花子の人生そのものが波乱万丈だったので、私としては物語を作ったというよりは、そこにある物語を見出して書き記していったような感覚でした。 とにかく、楽しんでいただけて嬉しいです! これからもよろしくお願いします♪
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