82人が本棚に入れています
本棚に追加
「君はどうやら、とても純粋な魂の持ち主らしいね」
どういう事だろう。
「いいか、宮本悠真。魔法使いといったものは、ファンタジーの世界にのみ存在するのだ。現実では笛や太鼓で探したって見つかりゃしない。なぜなら、存在しないのだから」
「え、でもさっき、し、シマりんさんが何もないところから──」
慌ててシマりんさんを見ると、シマりんさんは、例の星がついたステッキを、ひゅん、と振った。
「イリュージョン」
「えっ、えーっ!」
「俺は最初からこの部屋に潜んでたよ」
「じゃ、じゃあ、椎野さんは……」
「テメエ、俺が本気で“にゃあ”と鳴いてると思ったのか」
「えーっ………」
なぜ、なぜこんな……敢えて言わせてもらう、なぜこんな茶番を?
「悪かったな、宮本悠真。君の心を試した」
「な……なぜ……」
「本当に純粋な魂の持ち主にしか、久我亮衛にかけられた呪いを解くことはできない」
………は?
魔法の次は、呪い?
「……もう僕、信じませ──」
「こっちに来てくれ」
シマりんさんが、変なステッキでソファのほうを示した。訝りながらも、シマりんさんが真剣な表情だったので、一応ソファに向かう。
背もたれから覗き込んだ僕は、驚愕のあまり腰を抜かしそうになった。
一人の男が、両手を胸の上で組み、昏々と眠っている──眠っているんだろう、たぶん。生きてるよな……?
「彼が久我亮衛。3日前から眠り続けている。調べたところ、ネムールの呪いがかけられているのが解った」
「あの、シマりんさん……」
「うん?」
「魔法使いは架空のものだけど、呪いは存在するんですか……?」
「おいおい、魔法と呪いを一緒にするな。これだから素人は……」
え、ここ、怒られるとこ?
「ネムールの呪いを解く方法はひとつ」
明智さんが、凛とした声で言った。
・「久我亮衛の血縁者の中で、最も純粋な魂を持つ者の髪の毛を1本、久我亮衛が心から愛する者の小指に結び、久我亮衛に口付けをする」
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=12
・「久我亮衛の血縁者の中で、最も純粋な魂を持つ者が、久我亮衛に口付けする」
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=30
最初のコメントを投稿しよう!