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「知ってのとおり、班長である久我亮衛は、3日前から姿をくらましている」
明智さんの低く押し殺した声が、しんとした室内の床を這うように、ひたひたと僕の耳に迫ってくる。まるで怪談話をしているみたいだ。
「4日前までは、至って普通に仕事をしていた。帰り際も“お疲れサマンサ!”と陽気に親父ギャグを飛ばしていた」
うわあ。遠い遠い親戚だけど、恥ずかしい!
「そして3日前。待てど暮らせど登庁せず、電話にも出ない」
話し方のせいだろうか、内容がどことなくオカルトチックに思えてきて、僕はごくりと唾を呑み込んだ。
「夕方ちかくになり、ようやく班長から1本の電話が入った……“やあ、私だ、みんなの久我亮衛だ”」
……僕の遠い遠い遠い親戚は、こんなキャラなのか? 普段からこんななのか?
「“実は私は今、非常に重大な任務についている。極秘なのでこれ以上は言えないが、まあ、とりあえずは無事だ。ただ、もし万が一あさってまでに、私から何の連絡もなかったら、すまないが”──」
突如ガタンと隣のデスクから何かがぶつかったような音がして、僕の心臓は跳ね上がり、文字通り椅子から転げ落ちた。
無様に床に尻をついた僕は、隣のデスクの下を見て、目を疑った……
なんだ、あれは。
なにかがデスクの下に潜んでいる……。
・逃げる
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=22
・“なにか”を掴んで引き摺り出す
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=9
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