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隣のデスクの下に、何やら影が蠢いている。
もう嫌だ。貞子も幽霊もお化けももののけも、怖いもんは怖いんだ!
僕は、やみくもに足をばたつかせた。……さっさと立ち上がってこの場から逃げたかったのだが、あろうことか腰が抜けていた。
と、デスクの下の暗がりから、ぬうっと蒼白い腕が僕をめがけて伸びてきた!
もう駄目だ……意識が遠くなり、ぐらりと傾いだところへ、すごい力で腕を掴まれた。
気絶することさえ許されないのか。僕は絶望的になり、なかば自棄になって閉じかけた目を開いた。
目の前にイケメンがいた。
イケメンが、ひどく不機嫌そうな顔で、僕の腕を掴んでいる。
イケメン……だよな……?
でも、イケメンに、なぜネコ耳が生えてるんだ? ネコの妖怪? 変化?
混乱する僕の腕を、イケメン猫が力まかせにぐいと引っ張り、僕を椅子に座り直させた。
「こりゃあ、ずいぶんと弱そうな妖怪が現れたもんだな」
猫がしゃべった。
猫がしゃべった。
「こら椎野。そいつは大切な客人だ。食うなよ?」
「ほう。生け贄って訳でもねえのか」
「親戚が失踪したと聞いて飛んできた。心根は優しい青年だよ」
飛んできてない。
飛んできてない。
ていうか、この人たちなに言ってんの?
───その時。
今度は、部屋の奥にあった段ボール箱のひとつが、ゴトゴトと動き出した。
度重なる怪奇現象に、僕は───
・今度こそ卒倒した。
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=28
・情けない悲鳴を上げながら、ドアに向かって猛ダッシュした。
⇒https://estar.jp/novels/25650637/viewer?page=16
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