11人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
妄コン「◯◯解禁」の感想です。
https://estar.jp/official_contests/159697
* * * * *
【続きが読みたい賞】
『私は化物です』 鏡乃 様
特殊能力もののお手本のような作品です。
主人公がもつ特殊能力は、あまりにも凄すぎるとチートすぎて、かえって作品はおもしろくなくなってしまうものですが、この作品では、うまく能力が制限されています。
読心能力は昔から使い古されてきた特殊能力なので、設定の工夫がとても大事だと思います。
物語の冒頭は、青春恋愛ものでほのぼのとスタートしますので、その後の展開とのギャップを楽しめます。
友人の設定にも、学ぶところは大きいです。
まず、主人公に特殊能力がある場合は、その友人は普通の人である方が望ましいですね。
主人公が引き立ちますから……
という設定を伏線にして、ラストで明かされる真実!
拍手を送りたくなります。
あと、友人がもつ力、この作品では力というよりコネですが、その伏線を後半で回収するのもお見事です。
友人の設定は伏線として使え、ということです。
ラストで、三人の友人の真相が明らかになった後でも、以前と同じように友情を確かめ合う場面に、感動が止まりませんでした。
私もいつか、こういう作品が書けるようになりたいです。
* * * * *
【トンデモ賞】
『人間解禁』 西 令草 様
題名が気になります。
どういう解禁なのだろう。
おそらくは、人間らしい生き方の解禁なのかな、と想像はつきますが……
人間解禁の真相は、読者の想像の遥か上を行くものとなります。
トンデモ賞、納得です。
トンデモ賞なので設定がハチャメチャなのかと思いきや、実は設定の中に、作者のメッセージが隠れています。
展開は冒頭からの中盤への流れでまったく予想できず、読者はぶっとんだ設定にいざなわれるわけです。
前段では、主人公は幼い頃に父をなくしていて、苦学生。
ヒューマンドラマ的な導入になっています。
人としての生き方を圭介の父は語ります。
その内容もしっかりとしており、作者の人生観も見えてきます。
お坊さんの話、そして、お寺の白蛇が絵に書いてもらうことで顕現する。
ヒューマンドラマからシリアスな宗教的ファンタジーへと話が変わっていきます。
物語を読み進めていくと……
え? ひょっとして自分は違う作品を読み始めたのだろうか?
と、前のページに戻りたくなるような衝撃の展開。
前半と後半でギャップがある作品はいろいろありますが、このように展開する話は初めて読みました。
もう、びっくりです!
読みながら、自分の脳を応援したくなります(笑)
なぜって、この展開に脳が追いつかないような気がしてしまうからです(笑)
ヒューマンドラマ、ファンタジー、SFを1作品で同時に味わえる、まさにトンデモな作品でした。
作者の西さんは、人間の生き方を探求しておられる方です。
そんな生き様も、この作品から感じました。
* * * * *
トンデモ賞受賞作品『人間解禁』の作者 西令草さんは、ご自身のエッセイで、闘病記を書いておられます。
生き方を常に問い続けて作者様が、今まさに病と闘っています。
私は、西令草さんの生き様や、闘病の姿勢から多くを学ばさせていただいています。
西令草さんのご快癒を願っております。
* * * * *
次回からは、妄コン「染まる」の感想を書いていきます。
お楽しみに!
※ 妄コン「染まる」の受賞作品はこちらから読めます。
https://estar.jp/official_contests/159699
最初のコメントを投稿しよう!