こと

ホラー作品久々に熟読致しましました。 正直怖いの苦手です。 悪霊、怯える人間の恐怖などの描写、読んでいてゾクッとしました。 しかし、ただ怖かったと言う感想だけでは終われない作品でした。 “心から強く願えば、きっと願いは叶う” この希望の言葉とも思える素敵な台詞を軸に主人公の物語が回っていきますが、 色のない人生を歩む彼女を色で表現したのなら、恐らく灰色でしょうか…。 彼女の瞳に映る他人はいつも幸せで、色んな色に映っていたのでしょう。 恵まれない家庭、境遇…。 どんなに努力しても、開けない未来。 周りは自分が手に入れられない幸せを、当然の様に手にして、ドンドン前に進んで行く。 報われない思いにいつまでも変わらない色に焦り、やがて憧れと願いが、嫉妬と狂気に変わって行く…。 恐ろしい事でもありますが、この思いは、全ての人間が持っているものかも知れませんね。 “心から強く願えば、きっと願いは叶う” その言葉を胸に、自分に色を付けようと、主人公の彼女が希望を見出したのが、 彼女にとって、誰よりも美しく鮮明に映っていた、 山村武士と言う存在だったのでしょう。 彼イコール幸せの色を手にいれる。 それが、 “心から強く願えば、きっと願いは叶う” の辿り着く先と思い込んだ彼女が、 言葉の意味を歪め、狂気の道に進んで行く姿は、恐ろしく、そして悲しかったです。 これ以上書いてしまうと、恐ろしくネタバレしすぎますので、控えますが…(>人<;) 作品を読んでいて、正直私は誰に感情移入すればいいのか、迷いました。 主人公の行為は決して許されるものではありません。 しかしツイツイ、彼女をそうさせてしまった、過去を思うと、悪人とは思えない自分がいるのです。 かといって、彼女の被害者達は何も悪くない…。 クライマックスに向けて、“心から強く願えば、きっと願いは叶う”と言うテーマに、読者は少しだけ、希望を抱いたりしました。 だけど、最後の終わり方、最後に主人公の最後心に思ったことが、この作品を更に引き締めていると思いました。 おっと、ネタバレしすぎちゃいました。∑(゚Д゚) ホラーの要素は背筋がゾッとするほど、沢山詰まり、怖いことは勿論ですが、 その中に絶妙に組み込まれた、人間の心理と狂気に胸が痛くなる作品でした。 長々と書いてしまいましたが、 夢中で読ませて頂きました。 (≧∇≦)
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ことさん、レビューありがとうございます。 こんなに丁寧に読んでいただいて、本当にうれしいです。 物語の主人公、小夜子は、きっと間違った生き方をしていたのでしょうが、僕は彼女を嫌いになれません。 心から強く願っても願いが叶わない現実があり、 誰もが幸せになりたいのに、なかなかなれずにいる現実ある。 そんなことを思いながら、僕は、恵まれない女の子、小夜子を主人公にこの作品を書きました。 ことさんのように、ちゃんと読んでくれる人がいて、この作品を書いた甲斐がありました。 ありがとうございます。

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