美森 萠

ひたむきに愛を信じていたのに、その愛に裏切られた過去を持つ一人の神父。 絶望に打ちひしがれ、神に縋る彼に天が遣わしたのは、天使ではなく悪魔でした。 悪魔の誘惑に負け罪に手を染めてしまっても、愛の力を信じ、親のない子どもたちに愛された記憶を残そうと、時には悪魔の力も借り一人奮闘する神父。 神父の罪を知ってもなお、彼の言葉を信じ、罪を赦し、惜しみなく愛を与えてくれる天使との出会い。 無条件に自分を信じ、愛してくれる存在を得て、神父自身も、ようやく過去の自分を赦すことができたのではないでしょうか。 それにしても、最後の最後で自分にとっての『神のひとり子』の存在に気づいてしまった悪魔……。彼の気持ちを思うと、ちょっとだけ切なくなってしまいます。 叶わない、手に入らないとわかっていても追いかけてしまう。これもまた一つの愛の形ですね。 神父の気づきと成長を通して、自分と、自分を取り巻く大切な人たちのことを振り返ることができる、聖なる夜に相応しいあたたかな気持ちになれるお話だと思いました。
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美森さん、イベント管理お疲れさまです。 そして、心のこもったレビューをありがとうございます。 このレビューを何度も読み返し、作者の私よりもより深くこの作品を理解してくださっているのではないかと、じーんとなりました。 神父が本当の意味で「愛される」ことを知り、成長していく。そんな彼の行く末を思い描いていただけたら本望です。 厳密には練りきれていない部分もあるような気がしているのですが、今回は救いのある優しいお話にしたく。 頼もしくも可愛い天使。蠱惑的な悪魔。そして二面性のありそうな神父のキャラクター像によりかかった構成になりました。 三人を書けて楽しかったです。 (昨日、今日さわがしく
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