真面目な文章というものがあるとするなら、この作品を書いた作者の文章がそうだろうと思う。 丁寧な描写、矛盾のない説明、隙のないストーリーの辻褄は、いいかげんな姿勢と、そして生半可な知識のもとでは到底成し得ない。 このような文章を書くために、いったいどれくらいの勉強量を費やしたのだろうか。どのくらいの時間と熱量をかければ、ここまでの筆致を習得することができるのだろうか。 いいかげんなクリエイターである自分にぜひ教えて頂きたいものである。 冒頭から感服しながら読み進めていくと、いつのまにか主人公と一緒に学生時代の只中を歩く自分がいた。 作者の抜かりのない文章に絡め取られていたのである。まったく見事としか言いようがない。 学園内の不思議な言い伝えを現代の恋愛に絡めていく手法も見事だ。 ラストも、単純なハッピーエンドにするのではなく、最後の最後まで洒脱なセリフで締めていくところなど、その抜け目のなさに悔しくて歯ぎしりをしてしまいそうになるほどだ。 全体を通して訴えかけてくるメッセージは、けして若者だけに向けたものではないと考える。 日常の慌ただしさにふと大切なものを忘れかける、いい大人に対しても痛烈なメッセージではないだろうか。 確認を取るのを忘れてしまいましたが、この作品は何か公募にはエントリーされているのでしょうか? もしまだなら、ぜひ出したほうがいい。 選出されないなどということがあったとしても、多くの人の目に触れることになる。たくさんの人の目に触れ、称賛されることに値する作品だ。
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過分なご評価を頂戴しまして、本当にありがとうございます! SFを棲家とする小生の数少ない現代劇、個人的にとても気に入っている作品なので、かのようなお褒めの言葉を頂き、本当に光栄です。 今日からまた、お褒めに預かるような話をお届けできますよう精進いたします! ありがとうございました!
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