擬天傘

イベントに参加いただきありがとうございます! 現在60ページまで拝読したところですが、ここで一旦感想を書かせてください。 なぜなら、3ページから始まる「二人の英雄」がすごすぎたからからです。 まるで講談を聞いているか、8,90年代ロボットアニメを見ているかのような、熱量を持った文。読んでいると、高らかに文を読み上げる男性の声が聞こえてきそうな、読者を引っ張って物語に酔わせてくれる文体です。 僕もこの熱量を持った文章を書こうとしていたことがありました。ですが、そんな技量はなく、今となっては文章を信じきれず、未だに書くことはできません。 二瀬さんが緻密に作られた世界観と相まって、独自の熱を帯びている。この導入だけで、鉄甲騎モミジブライの非凡さを感じました。 だからこそ、それ以降の章で温度が下がっていくように感じてしまったのがとても残念です。強いこだわりと作り込みを感じる世界観と、ガジェットやビジュアルの丁寧な描写に満ちているあまり、物語が進んでいく速度が落ちていませんでしょうか? 「二人の英雄」章とそれ以降では使う文体をあえて変えているということでしたら、そこは気にしないでいただきたいのですが、やはり地の文が放っていた人を惹き付ける熱量は消えてしまっています。 また、「二人の英雄」章で見られたナランの辛い過去、その後の境遇から、きっと物語を引っ張っていくような強い思いを抱いていると思います。彼の執念や心に刻まれた傷が、凄まじい量の情景描写に流されて、埋もれてしまっているような気がするんです。 これだけ作り込んだ世界観は、全てを説明しなくても匂わせる、感じさせるだけでも読者は気付いてくれるのではないのでしょうか。土台が直接見えなくても、その上に建つ建物がびくともしなければ、読者は土台がいかに堅固にできているかを感じられるはずです。 僕の率直な感想は、二瀬さんが作られた世界観の丁寧さは、全部見なくても十二部に伝わってくる。だから、その世界の上で二瀬さんの熱い語り口でナランの物語を作って欲しい、です。二瀬さんがおっしゃる、ガリアンやエルガイムの魅力は、見る人を惹き付ける熱量ではありませんか? 二瀬さんの熱は戦闘描写でない場面も熱く読ませてくれるはずだと思います。そんな小説を僕は読んでみたいです。 願望駄々漏れで申し訳ありませんが、以上になります。 大長編の完結、本当にお疲れさまでした。
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二瀬幸三郎です。 この度は御高覧並びにレビューをありがとうございます。 また、第1章に対する多大なお言葉を賜り、こちらもありがたく思います♪ 〈二人の英雄〉は、下書き段階では存在しておりませんでしたが、一定段階まで書き進んだとき、[導入が弱い]ことに気付いて、ナラン、モミジの過去や現状などを冒頭に移動したものでした。 そして、物語の問題点も提起され、こちらもありがとうございます。 ファンタジー、SFに於いて[解説]は物語はその世界を読者に伝える必要不可欠なものであると同時に、進行を遅らせる要因でもあり、その両立にはいつも頭を悩ませられております。 確かに、説明を省き、本篇に集中しても

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