ヒロアキ

無力への失望と力を得ることへの信念
 大きく分けて、前編は無力ゆえの失望や至らなさの葛藤、そして後編は力を得ることでの自己の責任や信念を問われる主人公ナランとモミジの物語だったと思います。  もちろん、脇役たち(と、呼べないほどにキャラも立っていました)もしっかりと脇を固め、時には物語の大舞台を大いに盛り上げてくれましたが、前編後編共にクライマックスで邂逅するナランとモミジの活躍に至るまで、まるでぶれない筆力と根性は相当なものだと思われます。これほどの長く密度のあるドラマですが、付けさせてもらったタイトルに向けて物語の枝葉を回収しながら開花させてくれました。前編後編共に、クライマックスでの(主人公の邂逅)カタルシスは物凄い熱量で、めくるページが止まりません。  要所要所でキャラの想いを熱く語る台詞回しなどは絶品でした。  正直、ロボットもので小説というのはどうなのだろうか?というのが、私の最初に抱いた気持ちでした。というのも、読んだこともなく、何よりも絵的な描写こそがもっともふさわしいと思っていたからです。絵として触れたことしかないとも言えますが。もちろん、小説化されたロボット作品は多数ありますが、複雑な機構をもつロボットを言葉の世界でやるとめちゃめちゃになるか、迫力に劣ると思っていたんです。アニメや漫画ならば、一枚の絵を提出すれば、無用な説明はいらないものですから。  しかし、モミジブライでは多種にわたる単語や熟語を駆使し、また独自の語りで私の偏見を見返してくれました。恐れ入りました。  本作は単なるロボット作品とはまた括ることも出来ません。ファンタジー世界で登場する異世界の住人達であるハーピーや獣人、巨人、そして心象具現化術と呼ばれる魔術も独自の設定と想像をもって世界の一部として語られ、とても見ものでした。私個人は、特に巨人でありヒロインであるモミジという存在が大変面白かったです。生体兵器として登場した彼女は(物語の進行に合わせて明かされていく)、それでも同じ人の仲間として、あるいは人以上に純真でした。とても魅力的だったと思います。 続きます。
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 掘り出せばきりの無い作品ですが、最後に、劇中に登場する「世の中は時に理不尽を動力にして動いているのでは?」という言葉を要所要所で織り交ぜ、これも印象的です。また、前編クライマックスでの「この想いも燃料に変えて」などは本作品を象徴する名言中の名言だと思います。とても気に入っている台詞です。言葉の世界で見事にロボット作品を提示してもらいました。  物語はまだ回収されていないエピソードもあるため、そちらを楽しみにお待ちしています。
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二瀬幸三郎です。 この度は拙作への御高覧、ページコメント、スタンプなどの応援を沢山頂き。その上で素晴らしいご感想まで賜り、ありがとうございます♪ 当初〈~1〉はもっと短い物語として構想しており、ナランとモミジも早い段階で出逢うつもりでおりましたが、出だしと終わりを決めて筆を進める内に話がふくらみ、登場人物が主張しはじめ、挙句に色々と[穴]まで見え、それらに対処していきながら書き進めていく内にこんな長編となりました(汗w…… そして〈~2〉は〈~1〉を読み返した上で、今度は12章分のプロットを組み、ナランとモミジの衝突を通して[英雄]というものを自分なりに考えた結果、このような物語となりま
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