痛み、のち、ほんのり甘い…
中学生の翠が立ちどまり、また歩き出す物語。 翠はいじめられている訳でもないのに、学校が居心地悪いと感じています。 そんな翠から見れば同級生たちは、学校で「うまく」やっているように見えます。けれど翠はテレビ番組には興味がないし、そんな同級生たちは子どもっぽく見えてしまうのです。 では翠は何が好きなのか、何がやりたいのか……。 そんなことは、はっきりと分かるわけでもなく。 また自分の気持ちを自分でも持て余しているのに、人に説明できるわけもなく。 アンバランスに心が大人びてしまった少女は、ある日、あるメッセージに出会います。それは翠に、ほっと息をつかせてくれるものでした。 翠が感じているのは、イジメのような鋭い痛みではないかもしれません。 けれどジリジリと身を焼くような……、そのままでは、自分ではないものになってしまうような気がする……そんな焦燥なのかもしれません。 この物語が特別なのは、翠に関わっていく人たちにあるように思います。 どこかに、かつてじりじりした思いを抱えた中学生だった、そしてもしかしたら今でもジリジリとくすぶる思いを抱いている「かもしれない」大人達。 そして広い知の世界にカンテラの灯りを差し向けて、翠に見せてくれる人。 息苦しい場所から逃げ出すのは悪じゃない、そう思えるのはやはり、人との関りあってこそなのでしょう。もしも逃げ出した先が独りぼっちだったら、後悔してしまうでしょうから。それどころか、我慢できなかった自分を責めてしまうかもしれません。 翠のように、自分の気持ちを行動に移せる中学生は、ほんの一握りかもしれません。 大半は、うまくやっているように見えて、もしかしたら人知れず、何かを抱えていたりするような気がします。小さな何かだったとしても。 そんな隠れ翠にこそ、届いてほしい物語です。
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一花さんごきげんよう。 感想本当にありがとうございます! そうなんですよ、学校は命を犠牲にしてまで行く場所じゃありません。 小説として、ポンポン話がよく展開する、という反省はありますが、とにかく作者としては、中学校がいやなら、フリースクールなどがあるよ! っていうことでした。 不登校は恥ずかしいことじゃないんです。 わたし自身、早熟なほうだったし、全体主義っぽい生徒たちに違和を感じ続けてきたから、今おなじ想いの子がいたら、とにかく逃げて欲しい! その一念だけで書きました。
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みな子お姉さま、ごきげんよう! 子どもVS大人じゃないところがいいですよね。 理解できる人がどこかにいる、逃げられる場所がどこかにある、逃げたとしても未来がなくなるわけじゃない…そういう思いが伝わってきました(*^^*) 素敵な物語でした( *´艸`)
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