藤村げっげ

人間の弱さに向き合う、覚悟の傑作
衝撃の作品です。 読み終わった後、感情が言葉にならなくて、感想を書こうにも動けずにいました。 描かれる心の傷がどれもリアルです。 他人事のように笑うこともできないし、綺麗事に泣かせてもらうこともできない。 残るのはただただ濁った気持ち。 まるで読者である自分の心を鏡に映されているような気持ちになりました。本当にすごい筆力です。 同じ経験ではないにしても、こういう葛藤は誰もが味わったことがあるのではないでしょうか。 自分の居場所を求め、誰かを傷付けてしまった。 自分の保身のため、誰かに嘘を付いてしまった。 自分の弱さのため、誰かの弱さを利用してしまった。 等々。 本当は許されたいだけなのに、嘘に嘘を塗り重ねるとより傷が深くなっていくものです。 その痛みは、大人になってからも忘れられないし、忘れてはいけないと思います。 主人公や同級生の女の子たち、伊原の行動については、いろいろ思うところがあります。 正直言えばその未熟さを嘆き、浅はかさに怒りたい。 でもそうして彼らを責めたり、裁いたりするのも違う気がします。 きっと犯した過ちの大きさは彼女らが一番分かっていると思うからです。 彼女らは作品と共に成長しています。そしてこの作品が「完結」していることが、彼女らの結末になっていると。 孤独と孤独が触れ合い、この物語が生まれた。 今はただ静かに、その悲しい奇跡に思いを馳せるだけで十分だと感じています。 自身の過去を振り返ったり、人間の「弱さ」に向き合うには相当な勇気が必要だったはずです。 青のキカさんの覚悟に敬意を表したいです。 執筆お疲れ様でした。 素晴らしい作品を生み出してくださり、ありがとうございました。
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藤村げっげさま レビューありがとうございます。 「覚悟の傑作」と形容いただけたこと、とても嬉しいです。 本作は処女作で、完結するまでほとんど読者がいませんでした。 そのため、「面白いと思ってもらえるものを書こう」という意識が無く、ただ自分を救うために、思いを詰め込みました。 魂を削りながら書いていた感覚があり、今の自分にはもう書けない作品だと思います。 自分勝手な作品ですが、覚悟をもって書いていたのはほんとうなので、げっげさんのお言葉がすごく嬉しいです。 あの頃、大げさでなく教室は世界の全てでした。げっげさんの仰る通り、居場所を確立するため、自分の地位を守るため、人を傷つけてしまった人も多い
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