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それは毒めく口づけのように
武城 統悟
2024/11/19 23:45
想いを貫く物語と紡いでいく覚悟
『それは毒めく口づけのように』 なんだか怖いタイトルだな、と思った。何か事件が起きそうだけど、事件は起こらない。恋の話だった。 麗は恋をしている。恋の相手は作家であり父でもある優だ。 彼の紡ぎ出す物語に胸を焦がし、書き記す言葉を抱きしめる。 文学の徒である優は、しかし、その文学と世の狭間で身を伏せる。弱く、崩れ落ちそうな心を抱え、生み出した言葉を自ら葬り去りながら過ごしている。 ともすれば消えてしまいそうな優をここに引き止めているのは、親らしいことなど一切してあげたことのない娘、麗だった。 狂おしいほど恋焦がれ、引かれ合う二人は、しかし結ばれることはない。結ばれてはいけない。悲恋である。 いや、悲恋は早計だ。 麗は世界中の誰よりも優の心を理解している。 優も叶わぬ恋と知りながら、それでも麗を心から想っている。 二人の心を繋ぐ言葉を繊細な筆が紡いでいく。 僕は純文学というものをよく知らない。 物悲しく、報われない物語という勝手なイメージを持っている。でも、だとしたら純文学というものに対する意識を改めなくてはならない。 この物語は悲恋という衣こそ纏っているけれど、その身は燃え盛る紅蓮の炎を内包しているからだ。 なぜか。 物語を綴った秋月さんが全力でその想いを込めているからだ。心を揺さぶり、思考を求める彼女の作品の中でもこれだけ気持ちの熱い物語はない。 恋の物語だからなのだろうか。 それはちょっと違う気がする。 書きたいものを書く。彼女は書きたいのだ。 想いを前面に出す物語は時に大きく心を疲弊させる。 それでも書きたいことがある。伝えたいことがある。 これからも彼女は物語を紡いでいくことだろう。 そんな秋月さんの覚悟を強く感じた作品だった。
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秋月 晶
11時間前
武城さん、ステキなレビューありがとう💕 とても勇気になれる言葉と、熱い気持ちをしかと受け止めたよ。もう感謝が溢れて止まらない。 今作を書くにあたり、私の中には何もなくて、ただ一つ、執筆への衝動だけだった。 そんなとき、胸を突くように湧いて出た、創作者と読者の関係、本物のそれが重なり合う瞬間の想い。 作家に限らずクリエイターというものは、本当の部分を見てくれる人に出会えたら続けられると思う。 でも、人は人と完全に一致せず、どこかで何かの事情があって、同じ熱量にはなれない。 それでも本当の部分を見てほしいクリエイターと、クリエイターの本質を認められるファンがいた場合、その熱量計は振り切れるのではな
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