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エディアカラの馬車

小説

エディアカラの馬車

エディアカラの馬車

マッシー@里見拓

(3)

昭和四十七年夏、僕はゲーセンで彼等に出会ったのだった。

完結

66ページ

更新:2014/08/03

説明

少年時代の体験を基に書いた、ややノンフィクションな小説。


マッシー少年、一夏の冒険。

昭和の少年達の話であり、ピンボールの話であり、自然淘汰の話でもあります(笑)

昭和後期に青春時代を送った人向け。

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作品レビュー

熊川直孝(クマガワ ナオタカ)
熊川直孝(クマガワ ナオタカ)さん
【作品】エディアカラの馬車についてのレビュー

ネタバレ

 1960年代後半から1970年代にかけての、ズバリ「高度経済成長」の時代に青春を過ごした読者なら感涙し、また当時を全く知らない読者にはかえって「新しい」感覚を与えてくれるような、いわば《実録小説的》な傑作だと思います。

 通常、過ぎ去りし日々というのは想い出が補正されて、セピア色の美しさを感じることが多いのですが、今作の面白い部分は、当時をリアルに生きている登場人物ならではのほろ苦さや、あの時代特有の退廃的ムードすら味わわせてくれるのがポイントなのです。

 ピンボールマシンの【ティルト】警告音や、チープなゴム駆動のシステム(だんだん摩耗してくる。笑)の触感が蘇ってくる一方、そこには「これからどうなるのか分からない」モラトリアムを終わらせて行く少年期~青年期ならではのアンニュイさも窺い知ることが出来るのです。

 1970年代中頃まで、ゲームセンターに集っていたのは、はっきりと《不良》としか言いようのないお兄さん・お姉さん達でした(苦笑)
 紫煙が燻る喫茶店のガラステーブルに備え付けられた、インベーダー・ゲームの赤や緑のレバーを引きながら、名古屋撃ちの達人に勝負を挑み、タンノイ・スピーカーががなり立てるヒカシューの『20世紀の終わりに』を聴くと、どこか遠い時代に思われた21世紀のまだ見ぬ世界よりも「今」の怪しい輝きの方が魅力的!

 そんなことを考えていた、あの頃のナウでイカしたヤロウども&メロウどもは、どこへ行ったのでしょうか?

 甲虫類の序列から、やがて人間社会最初のヒエラルキーの洗礼を受ける少年たち。徐々に森林や野山は再開発によって姿を消し、公園にいつでもあったはずの放置された土管は、もう漫画の中でしか見ることが出来ない。

 イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』が奏でる哀愁は、ケネディ兄弟亡き後の希望とは真逆のアメリカ(ベトナム戦争の泥沼化~冷戦の再激化)のみならず、日本の小さないち都市に「確かに生きていた」あの頃の人々が口ずさんでいたメロディーでもあるのです。

 僕たちは本当は知っているのかも知れません。
 引き出しを開けたって、そこにはタイムマシンなんてありはしないことを。

 マッシーさん、素晴らしい作品をありがとうございます。

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2015/03/25 07:12
コメント(3)

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