なぎの みや

誰が為に鐘は――
一見異世界ファンタジーと見紛うてしうほど、幻想的な表紙と風景画。しかしこれは、我々が住む現代、もしくは近代を舞台にした物語ですね。 本作の主人公的な役割の、エリオット少年。彼には何やら目的があるようです。橋もかかっていない小さな孤島にある教会の、今では誰も使わない背が高くて横長の鐘楼。階段も壊されて碌に経路も整備されていないこの建造物に無理やりよじ登り、エリオットはその頂上に静かに吊るされた鐘を鳴らそうとするのですが―― エリオットの原動力は、常に「若さ」だと思いました。ある日偶然出会った少女、通称ミリアの為に彼は尽力するのですが、その理由や経緯、方法までもが良くも悪くも若さが滲み出ています。下手をしたら周りから反感を買ってしまうのではないかと読み進めながら心配してしまいました。 ミリアは、とても素直で優しい少女。ですのでエリオットを心配して彼を止めようとはするものの、決して否定はしませんでした。エリオットが鐘を鳴らそうとするもう一つの理由を聞いても、それを受け止めて尚且つ協力までしようとする。これはきっと、彼女の「誰かの役に立ちたい」という想いがあっての事でしょう。段々とエリオットに対する彼女の態度が、より親和的になっていくのも微笑ましく感じます。 人は、1人では生きられない。何かが欠けたら、何かで埋め合わせようとする。本作の登場人物たちは、その心理が大きく働いています。 ただ、全てのピースが綺麗に収まる訳ではない。人は誰も、その歪みに折り合いをつけながら生きています。それでも、ちょっと違う角度で合わせてみたら、意外とすんなりはまってしまう事もあるのです。 どうしても合わなかった、本作の登場人物という名のピース達。大きな力で離ればなれにしまいそうな少女と老婆が本音をぶつけ合った時、そのピースがかっちりと嵌り、過去から続いた様々なしがらみが解きほぐされます。その様は、是非とも本編を。 少々ネタバレですが、恐らく伝説は誰かの手によって曲解されたのでしょう。でなければ、鐘楼はあのような造りになっていないはず。鳴らない鐘も、意図してでは無い様な気がします。紐はきっと後から誰かが勝手につけたものの……かな、と。 ただ、これは読者として全体の事情を纏めた上での感想です。 物語は終始優しさが溢れる素晴らしいストーリーでした。ありがとうございました( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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レビューありがとうございます。 そう、気を付けないと異世界ファンタジーと誤解されると思って冒頭に東欧と付けました。スロベニアとクロアチアがモデルとなっております。他にもスマホ出したり(笑) 鐘楼のギミックについてですが、全て領主が行ったものです。貴族である妻や妻の派閥の人間にバレたら不味いので、誤魔化すためにああしました。悪い噂も意図的に流していて、それが後世に伝わってしまったのだと思います。 わかりにくいようなら加筆した方がいいかな…? ありがとうございました。
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しんどーちゃんこんばんは٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ そうそう、最初にバスが出てきて「おや?」と思い、スマホで現代だって分かったよ(´-ω-)ウム 名前が横文字だとね、背景がはっきりするまでどっちだろうって考えちゃう事あるよね。私も気をつけなきゃなところだよ( ˊᵕˋ ;)💦 うんうん、領主の行動原理はね、エレーネの骸を守る為なんだなって最後は分かったよ。だからこそ、鐘には人を近づけさせたくないって意図があったんだと思ったの。そう考えると、領主はもっと鐘に人が興味を持たない、もしくは忌避する噂を流したのかなって。でも、語られてる伝説は切なくはあれども恐ろしさは無かった。 これ、私の推理だけど。 晩
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