受賞

夕映えの柿

落ちて潰れた柿の匂いが漂っている。いくつも実る柿の実は、今はもう亡い祖母の顔をしていた。

待井小雨

ホラー 完結
10分 (5,432文字)

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あらすじ

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目次 1エピソード

感想・レビュー 2

ありえない世界が説得力をもって浮かんでくる

不穏で不気味な世界観がリアルに描かれます。作者様の筆致によって。 タバコのヤニで茶けた祖父の歯。 熟して地面に落ちた柿の甘く、くさった匂い。 橙色に照る実が夕陽を受けて鮮やかに光る。 いやあ好き✨
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こんなにも緻密で、ドラマチックな。

乱立する柿の木を眺めながら、散歩なぞしていると、地面に潰れて滲む夕焼け色に、ドキリとする時がある。 腐敗し始めている実を見ると、どこか不安定な気持ちになる……。   恥ずかしながら私の雑感では、この程
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